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三井化学(4183) コア営業利益の予想を若干増額修正。ただし前期比では2桁減益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/06/01)

・BPAの市況下落や在庫評価益剥落が重荷に
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益1兆6700億円→1兆9200億円(前期比19%増)、コア営業利益1350億円→1370億円(同15%減)へ引き上げる。この期は従来、自動車向け製品や半導体関連製品、ヘルスケア関連製品などの出荷が増加する一方、22/3期に高水準の利益を計上したBPAの市況下落や原料ナフサに係る在庫評価益の剥落が大きく、コア営業利益は2桁減になるとみていた。見方に大きな変更はないが、想定以上の原料・製品市況上昇やICT関連製品の出荷拡大などを受けて予想を上方修正した。続く24/3期以降は、主要製品の販売が着実に増加するとともに、石油化学系製品の合理化・構造改革による収益安定化も寄与し、連結全体で増収、増益基調になると考える。

・前期は需要回復と採算改善で業績を大きく拡大
 22/3期の連結コア営業利益は前期比90%増の1618億円で着地。主要製品の需要回復と採算向上、在庫評価損益の改善で大幅な増益となった。

・リスクファクター ~自動車減産の長期化など

・アナリストの投資判断 ~足元の水準に割安感。下値を固めつつ、株価は徐々に上昇へ
 同社の株価はBPA市況の上昇などを追い風に、20年春から21年6月にかけて大きく上昇。一時4000円台をつけたが、その後は一転して22年3月にかけて下落が続き、足元でも3000円強の水準にある。直近では当研究所の今期予想連結PERで約6倍と、総合化学メーカーの平均である9倍を下回る。今期は各社とも採算悪化で石油化学系事業の苦戦が避けられないが、その収益構成比が高い三井化学は他社と比較して減益幅が大きくなる見込み。このため、同平均を下回る7倍程度の評価が妥当とみているが、足元の水準には割安感があり、株価は下値を固めつつ、徐々に上昇に向かうと予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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