QUICKが市場関係者を対象に実施した参院選・緊急アンケートの結果がまとまった。選挙結果の予想では自民党と公明党の与党が、今回の改選議席以上を維持し、非改選議席を含めて過半数を確保するとの予想が83%になった。与党が議席を大幅に増やすという回答だけでも41.5%になった。岸田文雄首相は、非改選議席を含めて過半数の議席確保を「勝敗ライン」としている。これは改選議席を減らしても勝利とみなすという極めて保守的な勝敗ラインになるが、「改選議席を減らしても過半数を維持」という回答を含めると、実に98%が与党勝利を予想している。
選挙後に期待する政策としては、インフレ対策が最も多くの票を集めた。僅差で原子力発電所の再稼働などエネルギー問題の解決、そして憲法改正と財政出動による景気刺激策が続いた。ロシアのウクライナ侵攻で拍車がかかった世界的なインフレは収束する兆しが見えない。物価上昇が消費意欲の減退につながれば、コロナ後の景気回復シナリオが不発に終わる可能性がある。
夏場の電力不足への対策や、財政出動による景気刺激策は金融市場を下支えする効果が期待できる。アンケートの実施期間中に日米欧とも株価が大幅に下落したこともあり、相場を下支えする政策が強く期待されている。一方でエネルギー不足が問題化する中で、脱炭素の推進という回答は0.6%にとどまった。
選挙後の市場の値動きについても尋ねた。日本株は横ばいになるが52.4%、上がるが36.6%だった。円・ドル相場は、影響がないとの回答が最多だったものの、円安が進むとの回答も39%になった。日銀は6月17日の金融政策会合で大規模緩和の維持を決めた。世界的な利上げラッシュの中で円の先安観が再び高まっているようだ。
アンケートは6月16~17日に実施し、82人から回答を得た。
(ナレッジ編集長 阿部貴浩)