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業績予想は株価分析にとって重要!予想の読み方・使い方を解説 修正の基準やタイミングも紹介

【QUICK Money World 辰巳 華世】株価に影響を与える注目材料の一つに業績予想があります。業績予想は企業の将来性を示す数字で、投資家にとっては欠かせない情報の一つです。今回はそんな業績予想について、業績予想をチェックした方が良い理由から、業績予想の見方まで、投資に欠かせない業績予想について分かりやすく解説します。

企業の業績予想をチェックしたほうがよい理由

業績予想とは、上場企業などが売上高、営業利益、経常利益、純利益などこの先の業績の見通しを開示することです。

業績予想は、四半期予想、半期予想、通期予想と企業によって異なります。上場企業にとって業績予想の開示義務はありません。しかし、一般的に多くの企業が、決算発表をする際にこの先の見通しも合わせて開示しています。なぜなら、業績予想は株価に影響を与える注目の数字であり、投資家にとってとても大切な情報だからです。企業にとっては、業績予想を開示することで、開示の透明性をアピールし、投資家との円滑なコミュニケーションを図る狙いがあります。

業績予想は、この先、これくらいの業績になりそうという見通しであり、企業の将来性を示す数字です。アナリストの間では「ガイダンス」と呼ばれることもあります。株式投資にとって将来性はとても重要な判断材料の一つなので、投資家は企業の業績予想に必ず注目します。

一般的に業績予想は決算発表のタイミングに合わせて開示されることが多いです。企業が稼いだ一定期間の経営成績をまとめた「決算短信」の中で、将来の業績予想を開示します。決算短信の1枚目の冒頭は、「企業の通信簿」にあたるこれまで稼いできた結果を開示し、その下に今期予想などこの先の業績見通しである業績予想を開示することが多いです。

▼決算短信における業績予想の開示例(赤枠部

業績予想は株価に大きな影響を与えます。業績予想が良い場合は、この先事業が拡大していくと判断され、配当金の増額などの期待から株を買いたい人が増えます。一方、業績予想が悪い場合は、業績の不振や配当金が減額される恐れなどから株を売りたい人が増えることになります。

業績予想で注目すべきは、決算発表時などに開示された当初の業績予想だけでなく、その後、「業績予想修正」が起こった場合です。業績予想とはあくまで「予想」であり、月日が流れると予想通りにいかない場合も多々あります。当初発表していた業績予想より、一定の基準から乖離する場合、企業は業績予想修正を発表する必要があります。

この業績予想修正の発表も株価に大きな影響を与えます。業績予想が上方修正されれば、予想より業績が良いとの判断から株価は上昇しますし、逆に下方修正されれば、思っていたほどではなかったと株価は下落する傾向があります。

株式投資では、企業の業績予想はとても重要な投資情報です。決算発表時に開示される業績予想、その後、修正があれば発表される業績予想修正、どちらも株価に大きな影響を与える数字なので発表された場合は必ずチェックしましょう。

 

企業の業績予想を読むときのポイント

ここでは業績予想を読むときのポイントについて触れていきます。

「決算短信」の業績予想を確認する

一般的に、上場企業の業績予想は、企業が稼いだ一定期間の経営成績をまとめた「決算短信」に業績予想を開示する企業が多いです。日本の上場企業は現在、3カ月ごとの四半期決算短信、1年間を通じた通期決算短信の公表が義務付けられています。四半期の決算短信で業績予想を開示する企業があったり、通期決算短信のタイミングで業績予想を開示する企業もあり、そのスタイルはまちまちです。

特に注目なのは、通期決算発表時に開示される、次の決算期の業績予想です。次期の業績予想が、同時に発表される実績より上回っていれば、株価が上昇する傾向があり、過去の実績より下回っているとすれば、業績不振との判断から、株価は軟調になる傾向があります。

もっとも単純に実績より上だから買い、下だから売り、というわけではありません。次に詳しくお話ししますが、事前にアナリストが予想している数値を上回るかどうかも重要なポイントとなります。

なお、決算短信については、以下のページで詳しく紹介していますので、内容を確認して見て下さい。
  ⇒ 企業開示情報とは? 『決算書』で有望銘柄を発掘!制度解説や通知・検索サービスの紹介も

業績予想をアナリスト予想と比べてみる

企業が発表する業績予想を一般的に「会社予想」と呼びます。会社予想以外にも、「アナリスト予想」と呼ばれる証券会社などのアナリストが予想するものや、日本経済新聞社が予想する「日経予想」などいくつか種類があります。時に同じ銘柄の同時期の業績予想でも予想結果が違うこともあります。例えば、株価に直結する業績予想だけに、企業は保守的な見通しを開示することもあります。いろいろな視点での業績予想を比較することで、この辺りの温度感などを探ることもできます。

また、会社予想は決算発表時に開示されますが、アナリスト予想は、決算の間の経済環境の変化などを織り込みながら、日々変化しています。株式市場のプロは、このアナリスト予想に基づき適正株価を計算し、売買しています。そのため、決算発表時には、事前のアナリスト予想と、開示された会社予想の差に注目が向かいます。株価に織り込まれていたアナリスト予想を会社予想が上回れば買い、下回れば売り、といった反応が起こる傾向にあります。

QUICK Money Worldでは、主要企業について、アナリスト予想と会社予想の差を一覧できるツールをご用意していますので、ぜひご利用ください(有料コンテンツです)。
  ⇒ その決算、市場の本当の評価は?「決算サプライズメーター」

QUICK Money Worldの個別銘柄の株価情報ページでは、「QUICKコンセンサス」という、アナリストなどによる上場企業の業績予想の平均値(コンセンサス)を開示していますので、投資をする際の情報に役立てて下さい。

トヨタ自動車の株価情報ページにある「QUICKコンセンサス」

さらに、このアナリスト予想を使って銘柄をスクリーニング(検索)できるツールも提供しておりますので、こちらもご活用ください(有料コンテンツです)
  ⇒ QUICKコンセンサスで探す(コンセンサスサーチ)

業績予想で開示される用語を理解する

一般的に業績予想では、大まかなことが分かる4つの勘定科目の数字が開示されます。企業にとって業績予想の開示義務はないので、開示項目は4つだったり、3つだったり企業によって異なります。ここでは、一般的に開示される4つの勘定科目、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益について紹介します。

売上高: 物・サービスの売上合計
営業利益: 本業で稼いだ利益(⇒本業の強さを評価できる)
経常利益: 営業利益に、本業以外の収支(保有する不動産から家賃収入や金利利息など)を加えた利益(⇒企業全体の経営力・実力を評価できる)
当期純利益: 経常利益から税金などを差し引いた最終的に企業に残る利益(⇒最終的な株主の取り分を評価できる)

 

過去の業績も確認する

業績予想で開示される4つの項目はどれも注目すべき値ではありますが、特に「営業利益」は本業で稼いだ利益になるので本業の力を判断するためにも注目したいところです。また株価評価に使われる純利益も確認しておきましょう。

業績予想で発表された数字だけでなく、過去の実績がどうだったのか数年の流れも確認すると良いでしょう。業績予想の営業利益が直近の実績より伸びていても、実は数年ずっと右肩下がりでようやく少し回復しそうだという予想かもしれません。このまま回復していくような好材料が見られない場合は、買うタイミングではない可能性もあります。また純利益が急増しているように見えても、前年の一時的な赤字から脱却しているだけかもしれず、その場合は、過去の比較での回復度合いで評価が分かれるかもしれません。

一番怖いのは「業績予想修正」?

業績予想で注目すべきは、当初の業績予想だけでなく、「業績予想修正」です。業績予想がある一定の水準以上の乖離となる場合は業績予想の修正を発表する必要があります。東京証券取引所では、売上高が直近予想より10%、営業利益、経常利益、当期純利益が直近予想より30%、上下に乖離することが判明したら直ちに業績予想修正を発表することをルールとして定めています。

▼適時開示情報での業績予想修正の開示例(赤枠部

業績予想修正には、業績が当初予想より上回る「上方修正」と、当初より下回る「下方修正」があります。上方修正は、株価が上昇、下方修正は株価が下落する材料になります。ただ、業績予想が立て続けに発表される様な時期は、売買のタイミングは注意したいところです。

業績予想の修正は、直近予想より一定の基準以上に乖離することが判明したら直ちに発表する必要があります。例えば、3月期決算の銘柄であれば、3月期通期の決算発表自体は4月から5月中旬の間に発表しますが、期末で決算を締める段階で業績修正の必要があることが分かれば、期末直前の3月下旬に業績予想を修正することになるでしょう。実際の決算発表日よりも少し前に修正が発表されるケースが多いことに注意してください。

また、期末直前の3月下旬に業績予想を修正した銘柄があったとします。その段階での上方修正は、今度の決算発表の業績が良好との材料であり株価にとってはポジティブな反応になるでしょう。その銘柄は5月頃、業績予想を上方修正した決算内容を発表するとともに、今期の業績予想を開示してきます。ここで問題となるのは、この今期予想の数字です。この今期予想が、悪い予想だったり、それほど伸びが見込めない状態だった場合、いくら通期決算の内容が良くても株価が急落するリスクがあります。

株価は未来を織り込んで動く習性があります。株価を動かす材料としては、過去、つまり終わった決算期の決算内容より、この先の見通しの方が重要です。例え終わった決算期が好決算で、事前に業績予想の上方修正までしたとしても、それは決算発表日までには織り込まれ、市場は次の決算期の業績予想の方を重視します。

業績予想を早めに知る方法

業績予想は、株価に大きな影響を与える重要な材料です。業績予想を確認するには、企業開示情報をチェックすると業績予想を確認できます。ただ、膨大な銘柄が発表される中、お目当ての銘柄の企業開示情報を探すのは手間暇もかかります。多くの投資家は開示情報をいち早く確認するために、金融情報プラットフォームや専用アプリを使って適宜確認しています。

QUICK Money Worldでは、適時開示情報サイトや企業のホームページを巡回せずとも、情報の発表後、自動でお手元にメールで公開情報をお届けする企業情報お知らせサービス」を提供(有料会員限定サービス)しています。決算情報などの適時開示情報に加え、新製品やイベントなどのプレスリリースまで漏れなくタイムリーに受け取れる便利なサービスです。ぜひ、こちらのサービスもご利用ください。

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まとめ

業績予想とは、上場企業などが売上高、営業利益、経常利益、純利益等の見通しを開示することです。業績予想は株価に大きな影響を与える材料です。過去の業績と業績予想を分析し、投資すべきか決めましょう。ツールを活用することで、効率的な分析ができます。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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