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ストキャスティクスとは? 使い方や注意点など分かりやすく解説!

記事公開日 2025/1/29 16:30 最終更新日 2025/1/29 16:30 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

【QUICK Money World 荒木 朋】株式相場や個別銘柄の株価動向を予測する際の分析手法の1つとして、過去の株価の値動きのトレンドやパターンなどをもとに売買のタイミングを判断する「テクニカル分析」があります。本記事では、数多くあるテクニカル指標のうち、多くの投資家が利用している分析手法の1つである「ストキャスティクス」について、基本的な仕組みや使い方、同指標を活用する際の注意点などについて詳しく解説していきます。

ストキャスティクスとは?

「ストキャスティクス」は、米国のチャート分析家ジョージ・レーン氏が1950年代に考案したとされるテクニカル指標です。英語表記は「Stochastics」で「推計統計学的な、確率論的な」を意味する言葉です。

ストキャスティクスは、一定期間の価格範囲(高値と安値)に対して、現在の株価がどの位置にあるかを数値化し、相場の行き過ぎを判断するチャート分析手法です。相場の流れに逆らって売買する「逆張り指標」の1つとして活用されています。ストキャスティクスは0~100%の範囲で推移し、一般的に80%以上が買われ過ぎ、20%以下が売られ過ぎと判断します。

ストキャスティクスは「%K(パーセントK)」「%D(パーセントD)」「Slow%D(スローパーセントD=%SD)」の3つのライン(線)で構成されています。いずれかの1ラインを使うこともありますが、一般的にはこの3つのラインを2つ組み合わせて使うことで売買タイミングを測ります。

組み合わせ方法としては、%K(=短期線)と%D(=中期線)の2本のラインを利用する「ファストストキャスティクス」と、%DとSlow%D(=長期線)の2本のラインを利用する「スローストキャスティクス」の2種類があります。ちなみに、KやDは特定の単語の略語ではなく、便宜的に使われている記号のようです。

 

ファストストキャスティクスは売買シグナルが早く出るという特徴があり、短期売買向きの指標とされます。ただ、価格に敏感に反応し過ぎるため、ダマシ(=売買シグナルと反対方向へ価格が変動すること)が多いという弱点もあります。一方、スローストキャスティクスは価格変動の感応度を抑えようとする指標で、一般的にはこちらが売買サインの判断材料として利用されるケースが多いようです。

テクニカル分析にはいくつかの種類がありますが、ストキャスティクスのような相場の過熱度合いを測る指標は「オシレーター系」と呼ばれています。投資家がよく利用する代表的なオシレーター系指標としてはストキャスティクスのほか、サイコロジカル・ラインやRSI(相対力指数)などがあります。

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ストキャスティクスの見方・使い方とは?

実際にストキャスティクスを使った売買サインの見方について説明します。

まずはストキャスティクスを構成する3つのラインの特徴を簡単に整理しておきます。「%K」は日々の株価の動きをストレートに反映するためラインは比較的ダイナミックに振れます。「%D」は「%K」の直近3日間の平均を取って求めた数値で、「%K」と比べて動きは幾分滑らかになります。「%D」を直近3日間の平均を取ってさらに動きをならしたのが「Slow%D(%SD)」で、3つの中では最も滑らかなラインとなります。

前述の通り、3つのラインを2つ組み合わせて使うことが一般的で、ファストストキャスティクスでは「%K」と「%D」の2本のライン、スローストキャスティクスでは「%D」と「Slow%D(%SD)」の2本のラインをそれぞれ使って売買サインを探ります。

ファストストキャスティクスでは、%Dが0~20%の水準にあると売られ過ぎとして「買いサイン」と判断します。そして、この範囲で%Dと%Kが交差する点をトレンドの転換点とみなし、%Kが%Dを下から上へと抜けた場合はより強い買いサインが発生したと判断します。このトレンドの転換点をゴールデンクロスといいます。

反対に%Dが80~100%の水準にあると買われ過ぎとして「売りサイン」と判断します。この範囲で%Kが%Dを上から下へと抜けた場合はより強い売りサインとみなします。このトレンドの転換点はデッドクロスといいます。

スローストキャスティクスも同様で、%Kを%D、%DをSlow%D(%SD)に置き換えることで売りと買いの転換点と判断することができます。

相場(株価)が上昇しているのにストキャスティクスは低下傾向にある、または相場(株価)が下落しているのにストキャスティクスは上昇傾向にあるというパターンがみられるケースがあります。このように、相場(株価)とストキャスティクスの方向性(トレンド)が逆行する現象を「ダイバージェンス」といいます。

ダイバージェンスは、相場(株価)の上昇や下落の勢いに陰りがみられ、相場(株価)の転換が近いことを示唆する動きとみなされます。そのため、相場(株価)の上昇局面でのダイバージェンスは売りサイン、下落局面でのダイバージェンスは買いサインとして活用することができるとされています。

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ストキャスティクスの仕組み・計算方法は?

ストキャスティクスの見方や使い方を確認してきましたが、計算方法を確認して指標の仕組みや構造を簡単に整理しておきましょう。%K、%D、%SDの計算式は以下の通りです。

ストキャスティクスの計算方法

式の「計算期間」は5日、9日、14日などが使われますが、9日を用いるのが一般的とされています。また、%Dや%SDを求める際の移動平均は直近3日間としていますが、いくつかの数字が使われるケースがある計算期間と違ってこちらは原則3日間で使用されるようです。

計算期間を9日とし、実際にある銘柄の株価をもとに計算して得たストキャスティクスの数値を示したのが以下の表です。

わずか3週間分の株価のヒストリカルデータを使って計算したものですが、%Kは数字の振れが大きく、それと比較して%D、%SDの数字が滑らかになっていくことが分かります。

なお、ストキャスティクスの計算式を覚える必要は特になく、仕組みや概念だけを把握しておいてください。自身が保有するネット証券口座などの情報分析ツールなどで確認できるほか、日本経済新聞電子版の個別銘柄のチャート欄などでも見ることができます。

自分の気になる銘柄があれば、株価だけでなくストキャスティクスなどのテクニカル指標もあわせてみると現状の株価水準の把握にもつながりますし、次の売買タイミングを探るいい機会になるでしょう。

 

ストキャスティクスの注意点とは?

ストキャスティクスは逆張りに適したテクニカル指標とあって、売買シグナルを早く判断できるに越したことはありません。売買シグナルをより早く確認できるのはファストストキャスティクスになります。しかし、日々の株価の動きを敏感に反映する%Kを利用するために売買シグナル自体は早く出るものの、株価のトレンドが想定通りに転換しないダマシにあう可能性がある点には注意が必要です。超短期のトレードに活用するならまだしも、中長期的な視点で売買する人はスローストキャスティクスを使うのがいいでしょう。

相場の行き過ぎを判断し、逆張り的に売りと買いを入れるタイミングを測るストキャスティクスは、一定の範囲内で相場(株価)が上がったり下がったりを繰り返して動くボックス相場やレンジ相場でより機能する分析手法といえます。相場(株価)が一方向に動いている局面では売買サインとして有効な手段になりづらいのは難点です。

こうしたダマシを防いだり、ストキャスティクスのデメリットを補ったりするためには、複数のテクニカル指標を併用して売買タイミングを測ることも検討するといいでしょう。例えば、ストキャスティクスと同じオシレーター系指標であるRSIを使い、両方の指標で買いシグナルや売りシグナルが発生した際に投資行動に移すといった手法です。複数のテクニカル指標で売買サインの精度を高めることでより的確な売買判断ができるようになります。

ストキャスティクスは相場(株価)が一方向に動いている局面では売買サインとして機能しにくい点を指摘しましたが、一方向に相場(株価)は動くと言ってもそのトレンドで上げ下げを繰り返すものです。その点を理解し、上げトレンドの局面ではストキャスティクスが買いサインを示した時には押し目買いを入れる、反対に下げトレンドの局面では売りシグナルが発生した際に空売りに動くといったふうに、トレンドフォローにおける売買サインの補完材料として使う手もあります。

上記のチャートは右肩上がりのトレンドを形成していますが、ストキャスティクスも売られ過ぎ(20%以下)、買われ過ぎ(80%以上)の水準を行き来しています。買われ過ぎの水準では株価調整を示唆していますが、株価のトレンドは上昇の勢いが持続しているため、売りで利益を出そうとするには少々リスクのある取引になります。一方、株価の押し目ではしっかりと買いが入り、以前の高値水準を上抜けて株価が上昇しています。ストキャスティクスで示された買いシグナルは絶好の押し目買いのポイントだったことを表しています。

ストキャスティクスの強みを理解して活用しよう!

ストキャスティクスは、一定期間の価格範囲(高値と安値)に対して、現在の株価がどの位置にあるかを数値化し、相場の行き過ぎを判断するチャート分析手法です。0~100%の範囲で推移し、一般的に80%以上が買われ過ぎ、20%以下が売られ過ぎと判断します。ストキャスティクスには、売買シグナルが早く出るファストストキャスティクスと、売買シグナルが緩やかに反映されるスローストキャスティクスの2種類があります。

ストキャスティクスは売りと買いのタイミングを測るのに便利なテクニカル指標の1つで、相場(株価)が行ったり来たりするボックス相場などで機能しやすいのが特徴とされています。反対に相場(株価)が一方向に動いている局面などではストキャスティクスの使い方に一工夫も必要となります。ストキャスティクスの機能や特徴を把握するとともに、他のテクニカル指標を併用するなどして、投資利益を得るチャンスを増やしましょう。

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著者名

QUICK Money World 荒木 朋

1998年にQUICKに入社。2003年から11年間、日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)で記者職に就く。0609年にNQNニューヨーク支局に駐在。1820年はQUICKロンドン支店に赴任。08年のリーマンショック、20年のBrexitはいずれも現地で取材した。QUICK退社後、ボクシングトレーナーとして働く傍ら、21年から「QUICK Money World」に寄稿。


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