日本企業の景況感が悪化している。QUICKが13日に発表した9月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から5ポイント悪化のプラス19だった。悪化は2カ月ぶりだ。金融を含む全産業では前月から4ポイント悪化のプラス19だった。
価格が「上昇している」と答えた企業が多いほど高くなる販売価格判断DIと仕入価格判断DIは、全産業でそれぞれ前月から2ポイント上昇の38、3ポイント上昇の74となった。製造業の販売価格DIに限ると4ポイント上昇の48と、調査を開始した2008年以来の高水準となった。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況判断や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観調査としてまとめている。9月調査は8月30日から9月8日まで実施し、266社が回答した。
「緩やかなインフレ」望む企業9割
話題のトピックについて聞く特別調査では、日米の主要株価指数の年末にかけての見通しや、企業経営の観点からみて望ましい物価状況について聞いた。
日経平均株価の見通しは「現状程度の水準で一進一退の値動きになる」が74%と最も多かった。「年初来高値(1月に付けた2万9332円)を抜けず下落基調になる」が23%で続き、「年初来高値を上回って上昇基調となる」は3%にとどまった。ダウ工業株30種平均の見通しは「一進一退の値動き」が62%、「下落基調」が31%、「上昇基調」は7%だった。ともに弱気な見通しが優勢となっている。
また、物価高が社会問題となる中、企業経営の観点からみて望ましい物価状況を聞いたところ「緩やかなインフレが望ましい」との回答が91%と圧倒的だった。もっとも、コメントでは「所得の上昇を伴う緩やかなインフレが望ましい」、「エネルギー高や円安を発端とする現在のインフレは好ましくない」などの意見が上がっている。