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ROAを活用した企業分析とは? 業種ごとの平均や上位企業も紹介!

記事公開日 2022/11/4 17:00 最終更新日 2022/11/4 17:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー ROA 市場用語再点検 金融コラム

【QUICK Money World 片岡 奈美】株式投資を始めると、カタカナやアルファベットの用語をたくさん目にされることと思います。企業の財務情報を見ると出てくる「ROA」もそのひとつ。企業がどのくらい効率よく稼げているのかをみる指標ですが、「ROE」など似たような言葉に混乱する方も少なくないかもしれません。今回は、ROAとは何で、どういったことがわかるのかについてみていきましょう。

ROAとは

ROAとは「Return On Asset」の略称で、「総資産利益率」や「総資本利益率」と呼ばれています。総資本に対する利益の割合のことで、企業の収益性をはかる指標です。ROAが高いほど収益性が高く効率のよい経営ができている、とも評価できます。

 

ROAの計算方法

ROAを算出するのによく用いられる計算式は次の通りです。

ROA(%)=当期純利益÷総資産×100
                    =当期純利益÷総資本×100

ここでいう「総資産」とは、企業のもつ“すべての”資産のことです。現金や預金、株式などの金融資産、設備、在庫や不動産など、資産といわれるものは多岐にわたりますが、自己資本だけではなく借入金など他人資本のものも全部含めて計算します。「総資本」は「総資産」と一致するため、どちらの式も同じ結果になります。

なお、分子の「利益」に用いるものによって「総資本営業利益率」「総資本経常利益率」などとも呼ばれます。例えば経常利益を分子に用いると、本業のほかに発生した損益も含めた企業活動全般から得た利益の割合を確認することができます。

ROAとROEの違い

ROAとよく似た単語で「ROE」というものがあります。ROEは「Return On Equity」の略称で、日本語では「自己資本利益率」と呼ばれています。株主が投資した資金に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す指標で、ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100で計算します。

ROAもROEも高いほど経営効率がよいとされる指標です。違いは計算式の分母です。ROEは自己資本に限った経営効率の良さ、ROAは自己資本に他人資本も含めた会社全体の資産に対する経営効率の良さを見るのに適しています。どちらが良い悪いというものでもなく、分析したい対象や目的によって使い分けられています。

ROEについてはQUICK Money Worldのこちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご一読ください。
「ROE」とは何か 計算式や意味、目安を紹介 ROAとの違いも解説

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ROAでわかること

ROAをみると、企業が保有する資産に対してどの程度の利益を出しているのかがわかります。ROAの数値が高いほど、より効率的に利益を生んでいると評価されやすく、一般的にROAが5%以上であれば優良企業とみなされるようですが、業種によってROAの水準は異なることには注意しておきましょう。

QUICKが保有するデータから、直近の四半期決算をベースに東証プライム上場の全銘柄を対象に抽出したROAの業種別平均値は以下の通りです。ランキングは、データ作成時点(2022年8月末)のものです。

業種別ROA

業種によって差が大きいことから、異業種間での比較にROAを用いるのはあまりお勧めできません。例えば工場など大規模な設備投資が必要になると、総資産の額が大きく膨らみます(借入金など他人資本も含めて)。そうするとROAは低くなりやすい傾向があります。一方で大きな資産を抱える必要がない業態であれば、ROAは比較的高めやすいともいえます。会社の規模もROAの計算に大きく響きます。

22年8月末時点のQUICKのデータでは、全銘柄の平均値は4.7%となっていますが、業種によってクセがあることが見て取れると思います。同じROAという物差しを使うとしても、他業種や規模感の違う企業同士を比べてしまうと、投資判断を誤りかねませんので注意が必要です。

同様に、東証プライム上場の全銘柄を対象にしたROAの高い企業上位10社は以下の通りです。こちらも直近の四半期決算をベースに作成したもので、ランキングおよび社名はデータ作成時点(2022年8月末)のものです。

個別ROA

ROAが高まるとは?

さて、ここまで読んでいただいた方はもうお分かりかと思います。ROAを上げる方法には、➀利益を増やす(計算式の分子を大きくする)、②総資産(総資本)を減らす(計算式の分母を小さくする)――の2通りしかありません。一言でいうと「収益性をあげる」ということですが、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。

利益を増やす――といっても漠然としていますよね。本業の「売り上げ」を増やせるならそれが一番よいのでしょうが、経営効率という観点では「コストの削減」も大きく響いてきます。商品を作っているのならばその製造原価を圧縮したり、家賃や人件費など販管費の削減を試みたりするのも一手。本業以外で生じている費用があるなら、そういったところを削減していくのも数値の改善には寄与します。

もうひとつの総資産を減らすという方法はどうでしょうか。資産が減るというと、個人の感覚では何とも心もとない気持ちになりますが、不要なものを洗い出すという観点から見れば、決してネガティブなものではありません。例えば、売掛金の整理や、在庫の処分、古くなってしまった設備などの固定資産の処分などが総資産の圧縮につながるかもしれません。

ちなみに、ROAが下がるときはこの逆と考えてもよいのですが、ROAが下がる=悪、というばかりでもないことは気に留めておきましょう。たとえば新事業の立ち上げに伴う新規投資などで資産が膨らんだものの、利益が生み出せるのはまだ先――といったケースはどうでしょう。利益は変わらずに資産が膨らむわけですから、確実にROAは下がります。けれど、その新事業に将来性があると思えば、その企業への投資にネガティブになる必要はないわけです。

いずれにせよ、ROAはあくまで数字上の計算ですので、数値をはじき出した内訳や背景を紐解くきっかけとして、活用してみましょう。

 

まとめ

ROAは総資産と利益から企業の収益性の高さを分析できる指標です。ROEと異なる点は「すべての資産」を含めて見られる点です。より効率よくやりくりしている企業はどこかを探すひとつの手がかりになるでしょう。指標の動きから企業活動を推察したり、他の指標と組み合わせたりしつつ、投資先の選定の一助にしてみてください。

QUICK Money Worldでは、今回ご紹介したROAなど「収益性」の水準から銘柄を探せる「QUICK株サーチ」という機能を提供しています。収益性のほかにも企業規模や成長度合いなど様々な指標を組み合わせた「QUICKスコア」を使い、投資銘柄を簡単に絞り込むことができます。
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著者名

QUICK Money World 片岡 奈美


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