3月期決算企業の4~9月期決算発表が続いている。一部には経営陣が記者会見に応じる企業もある。日経QUICKニュースが配信した記者会見の経営コメントを以下にまとめた。
◇アドテスト社長、「23年度のプラス要素は縮小している」
アドバンテスト(6857)は27日、2022年4~9月期の決算説明会を開いた。吉田芳明社長は下半期の見通しについて「部材の確保で増産体制を敷ける環境ではなく、上半期と同等の売上高を見込んでいる。23年度は世界経済の弱含みを考えるとプラス(の要素)は縮小しているが、豊富な受注残からそこまで悲観的にはなっていない」と述べた。米国による中国向け輸出規制の強化は「直接的な影響はないと考えているが、半導体市場における不確実性は高まる」とした。
足元の受注動向自体については半導体の微細化など技術進化によるテスト量の増加、自動車や産業機器向けなどでの底堅い需要から「全体として堅調」(吉田氏)という。ただ、民生機器向け半導体の在庫調整や半導体大手の投資計画見直しの影響がテスター市場にも出ており、阪本公哉経営執行役員兼CCRO営業本部長は「スマホ、PC関連の半導体を製造する顧客から受注の一部キャンセルや納期延期の要請は発生している」と話した。
◇OLCの片山副社長、今期「訪日客はさほど期待できず」 中国本土から増えず
オリエンタルランド(4661)の片山雄一副社長は27日開いた2022年4~9月期の決算会見で、23年3月期(今期)の客足回復について「海外からのお客様はさほど期待できないのではないか」との見通しを示した。今期のテーマパークの入園者数は前期比66%増の2000万人の予想を据え置いた。政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための水際対策を緩和したが、「中国本土からの入国がなかなか増加していない」(片山副社長)状況を踏まえた。
一方、国内客は順調に伸びる見通しだ。片山副社長は政府・自治体による旅行支援策や東京ディズニーシー(TDS)で始める新ナイトショーなどを追い風に「(人びとの)レジャーマインドの好転が期待できる」と語った。
◇日野自の小木曽社長、エンジン不正の補償「困りごとに対応していく」
日野自動車(7205)の小木曽聡社長は27日開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、同社のエンジンの排出ガスや燃費を巡る不正による取引先への補償について「ひとつひとつ困りごとに対応していく」と述べた。不正の対象車種の出荷再開の見通しは立っていない。
小木曽社長は、不正の余波が大手のサプライヤーだけでなく、中小のサプライヤーにも広がり、原材料費の高騰などもあって苦しんでいるとし、「親会社のトヨタ自動車(7203)の調達部門に多大な協力をいただき(支援を)進めている」と説明した。日野自は車両のリコール(回収・無償修理)費用やサプライヤーへの補償費用など、4~9月期で46億円を特別損失に計上した。
◇松井の和里田社長、東証の投資単位引き下げ要請「好ましい話」
松井証券(8628)は27日、2022年4~9月期の決算説明会を開いた。和里田聡社長は東京証券取引所が同日、投資単位50万円以上の上場会社に投資単位引き下げを検討するように要請した件に触れ、「米国は1株から買えるが日本は任天堂(7974)や東京エレクトロン(8035)のような値がさの人気銘柄は高く、少額投資非課税制度(NISA)の枠内でも買えないため、東証の今回の動きは好ましい話だ」と指摘した。
一方で値がさ株などの投資単位引き下げは以前から課題になっていたとし、「(企業側が)真剣に取り組んでくれるのかが課題だ」ともした。松井証券が住信SBIネット銀行と連携し銀行サービスの提供を検討していることについては、「入出金に関する煩わしさが解消されることで、個人投資家の投資を始めるハードルを下げることができる」と述べた。