3月期決算企業の4~9月期決算発表が続いている。一部には経営陣が記者会見に応じる企業もある。日経QUICKニュースが配信した記者会見の経営コメントを以下にまとめた。
◇商船三井の橋本社長、ONEの来期以降「年20億~30億ドルの利益期待」
商船三井(9104)の橋本剛社長は31日開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、同社を含む国内海運3社が共同出資するコンテナ船事業会社、「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」の24年3月期~25年3月期の収益見通しについて「私個人は(通年で)20億~30億ドル程度の利益を上げてくれることを強く期待している」と述べた。世界経済が景気後退期に入ったとしても、黒字基調を維持することができるとの見方だ。
橋本社長はコンテナ船市況の先行きについて、世界経済が調整色を強めているとして「この下期と比べてもう一段軟調なマーケット(市況)が出てくるだろう」との見通しを示した。ただ、世界の海運大手は業界再編が進んでいるため、需給が緩んでも「過去のような無謀な運賃(引き下げ)競争は起こりにくくなっている」と指摘した。そのうえで「過度に悲観的な見方はしていない」とも述べた。
◇大和の佐藤CFO、仕組み債の比率低下「他の商品を積極的に提案」
大和証券グループ本社(8601)の佐藤英二最高財務責任者(CFO)は31日に開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、同社の仕組み債の販売について「顧客ニーズに合わせて他の商品を積極的に提案し、質の高いソリューションを提供していく」と話し、他商品の販売に比重を置く考えを示した。リテール部門の純営業収益に占める仕組み債の割合は、2019~21年度の3年間は6~7%台だったが、22年4~9月期は4%台まで低下しているという。
佐藤CFOは、株式市場で関心が高い米金融引き締めの動向について、そろそろ引き締めの出口を探る展開になっていくとの考えを述べた。そのうえで株式相場について「今後は企業業績をみながら底堅さが意識されるだろう。(大和の業績は)7~9月期で底入れしたとみている」と語った。
◇村田製会長、中華圏スマホの販売不振「長引く可能性」
村田製作所(6981)の村田恒夫会長は31日、2022年4~9月期の決算記者会見で、23年3月期の業績予想を下方修正したことについて「7~9月期から回復するとみていた中華圏のスマートフォンメーカー向け需要の不振が続いている」と指摘。とくに中低位機種のスマホ販売が低迷しており「販売回復は来期以降になるとみているが、具体的な時期は分からず長引く可能性もある」との見通しを語った。
ノートパソコンや中低位機種のタブレットパソコンも在庫調整が続き、パソコンメーカー向け部品需要は期初予想に比べ落ち込んでいるという。村田製は部品需要予測の前提となる23年3月期の販売台数予想に関し、スマホは10億9000万台(4月時点13億7000万台)、パソコンが4億4000万台(同4億8000万台)に下方修正し、同社の今期の生産高計画も引き下げた。
◇ANAHDの芝田社長、上期黒字転換「旅行需要取り込んだ結果」
ANAホールディングス(9202)の芝田浩二社長は31日開いた2022年4~9月の決算説明会で、上半期の黒字転換について「回復基調にある旅行需要を取り込んだ結果。素直に嬉しい」と語った。下半期については「旅行需要増が追い風となる半面、ウクライナ情勢や北朝鮮を巡る地政学リスクなどマイナス面もある」と述べた。
為替の円安進行の影響について、芝田社長は「増収効果よりも、燃油費高騰によるデメリットのほうが大きい」と話した。ただ、国際線旅客や国際線貨物の収入が増加基調となっており、外貨不足額は縮小傾向にあるという。日本人の国際線旅客需要について、ビジネス需要の回復は順調だとしつつ、「円安の影響でレジャーの戻りは鈍い」と述べた。
◇パナHDの梅田CFO、米ブルーヨンダー「成長軌道に変更ない」
パナソニックホールディングス(6752)の梅田博和最高財務責任者(CFO)は31日、2022年4~9月期の決算説明会で、純利益見通しの下方修正要因の一つである、米ソフトウエア子会社ブルーヨンダーの収益悪化について、人件費の高騰や構造改革費用などが響いていると説明した。梅田氏は「人件費や構造改革費用は一時的な痛みで、挽回していく」と話した。
パナHDは米ブルーヨンダーを軸に新会社を設立し、株式を上場させる方針を打ち出している。梅田氏は「現時点での成長軌道には変更はなく、上場準備の検討については予定通り粛々と進めていく」と述べた。