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「新しい資本主義」の迷走に市場はうんざり QUICK月次調査・株式

岸田文雄内閣の支持率が低迷している。報道各社の11月の世論調査では軒並み40%を下回り、昨年10月の政権発足来の最低水準に落ち込んだ。旧統一教会問題や3閣僚辞任への対応の遅れが、国民の失望を招いている。岸田首相は看板政策である「新しい資本主義」で早急に実績を出さないと、政権維持の「危険水域」とされる支持率30%割れも避けられないだろう。

では、株式市場は岸田首相にいったいどんな政策を求めているのだろうか。12月のQUICK月次調査〈株式〉の特別質問では、株式市場にとって岸田政権が対処すべき重要な政策課題を3つまでの複数回答で聞いてみた。

■株式市場にとって岸田政権が対処すべき重要な政策課題は(3つまで選択可)

出所:QUICK月次調査<株式>12月調査

上の表にあるように、回答が多かった上位の3政策は①賃上げの促進(50%)②原発再稼働などエネルギーの安定供給(44%)③「貯蓄から投資」施策の実効ある推進(38%)――だった。ここからみえる株式市場が岸田政権に求める経済運営の方向性は明らかだ。

もっとも重要なのは、企業による賃上げと家計の投資促進を進めることで消費をてこ入れし、円安やエネルギー高には頼らない物価上昇や持続的な経済成長を可能にすることだ。そのためには、企業が賃上げや国内投資を妨げているエネルギー供給問題を解決するのが必要と多くの市場参加者は考えている。

実は、本月次調査では7月にも『「新しい資本主義のための施策」のために効果が高いものは?』という聞き方で、株式市場が岸田政権に求める政策を聞いている(結果は以下の表)。

■「新しい資本主義のための施策」のために効果が高いものは(2つまで選択可)

出所:QUICK月次調査<株式>7月調査

両者の結果を比較すると、株式市場が求める政策がより絞られてきたことがわかる。賃上げの促進は5カ月前もトップだったが、比率は7月の35%から50%に上昇した。5カ月前には24%だった「資産所得倍増プラン」も今回の『「貯蓄から投資」施策の実効ある推進』と同種の政策と考えれば、比率は38%に上昇した。

逆に、5カ月前から比率が下がった政策もある。5カ月前の「GX(脱炭素)への投資」を今回の「カーボンニュートラルへの道筋確立」と同種の政策と考えると、14%から3%に低下した。5カ月前には「科学技術・イノベーション投資」が27%の回答を集めていたが、今回の「大学など基礎研究力の引き上げ」の回答は8%に低下した。

5カ月前に比べると、円安と物価高の進行で国民の実質賃金の目減りが一段と深刻になっていることが影響していると考えられる。株式市場は、賃上げ促進という即効性の高い経済政策を求めるようになってきたといえそうだ。

それでは、株式市場関係者はこれらの政策を岸田政権が本当に実行できると考えているかというと、相当疑わしい。岸田政権の今後の支持率の予想を聞いたところ、「支持率はさらに下がり、レームダック状態になる」の回答が48%と最も多かったからだ。

■今後の岸田政権の支持率は

出所:QUICK月次調査<株式>12月調査

一方、「支持率はさらに下がり、退陣に追い込まれる」の回答は13%にとどまった。当面は国政選挙がないうえ、岸田首相には解散総選挙に打って出るような政治的な体力はもはや残っていないとの指摘もある。かといって、自民党内には岸田首相を追い落とそうとする「岸田下ろし」の動きも今のところみられない。同設問の「その他」の回答に寄せられた「支持率は下がるが、退陣も政権交代もない最悪のパターン継続」との声は、諦めにも似た株式市場関係者の「うんざり気分」を代弁しているようにも思える。

12月調査の直前には、株式市場にとってある意味「事件」といえる出来事があった。金融庁が、上場企業の四半期開示の見直しの是非を検討してきた作業部会で、四半期決算短信の開示義務を将来的に廃止し、企業の任意にするタイミングを継続的に検討する案を唐突に提示したのだ。

四半期開示の見直しはもともと、岸田首相が首相就任時に「新しい資本主義」の具体策として持ち出したものだ。だが、見直しの具体的な方向性を議論する金融庁の作業部会では「海外投資家の信頼を下げる」などとして開示義務の廃止には否定的な意見が相次いだ。そこで6月には四半期報告書を四半期決算短信に一本化することが決まり、岸田首相がいう「見直し」は「簡素化」で対応することで決着していたはずだった。

そこで、特別質問では、ここにきて再び浮上してきた四半期開示義務の廃止案について、本当に廃止すべきかどうかの意見を聞いてみた。

■四半期決算短信の開示義務廃止の是非について

出所:QUICK月次調査<株式>12月調査

結果は「廃止すべきではない」が全体の65%を占め、「廃止すべき」(31%)の2倍以上の回答を集めた。廃止反対派の比率は投資家が59%と証券会社(70%)よりも少し低かったが、株式市場関係者のおよそ3分の2の人は開示義務をつづけるべきだと考えていることがわかった。

ちなみに、この結果は、日本証券アナリスト協会が10月に会員向けに実施し、金融庁の作業部会で説明したアンケートの結果とほぼ一致している。アナリスト協会の調査では「全上場企業に、第1・第3四半期の四半期決算短信の開示を義務付けて欲しい」の回答が全体の66%を占めていた。

旧統一教会問題など差し迫った問題の対応に忙殺されている岸田官邸が、このタイミングで金融庁に義務廃止の「圧力」をかけた可能性は低いだろう。それだけに多くの株式市場参加者が反対している廃止案をなぜ金融庁が突然持ち出してきたのかはナゾだが、四半期開示を巡る騒動は、この先も「新しい資本主義」の迷走がつづくことを予兆しているように思えてならない。

〔ペンネーム:青二才〕


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