【QUICK Market Eyes 大野 弘貴】みずほ証券は2日付のストラテジーリポートで、2023年に日本株がアウトパフォームするとの予想を示した。足もとの株式市場の上昇はベアマーケット・ラリーであり、23年1~2月の決算発表に向けた米景気減速と業績悪化が株価調整につながるという。
一方で、日本株は(1)景気と業績の相対的な底堅さ、(2)米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続によるバリュー相場の持続、(3)注目される政治経済イベント――といった点から、23年前半に他主要国株をアウトパフォームするとの見方を示した。
23年前半に電子部品の在庫サイクルが好転することで、外国人投資家の日本株買いに拍車がかかるほか、円の対ドルレートが安定してきた中、外国人投資家は為替差損を気にせずに日本株を買える環境が整ってきたとしている。また、日銀総裁の交代や広島でのG7サミット等の主要イベントも「日本が世界で注目されるきっかけになろう」としていた。
■国債の売り圧力が残る中、YCCのレンジ幅拡大は賢明とは思えない=UBS
23年に黒田総裁の任期切れを控える中、UBS証券は5日付のリポートで「現時点でのイールドカーブ・コントロール(YCC)における政策金利引き上げは以下の3つの理由によりハードルが高い」との見解を示した。①政策金利のフォワード・ガイダンスが中立からハト派的であること、②日本でもインフレ鈍化が見込まれること、③23年は世界的(特に米国)な景気後退が見込まれること――を挙げた。
各国が金融緩和に向かう中で日銀が引き締め政策に転換するとは想像し難いとしながら、「新総裁の下、日銀がYCCを修正し、10年国債利回りの目標レンジを現在の±25bpから拡大する可能性はある。だが、国債の売り圧力が依然として強い中でのレンジ拡大は賢明とは思えない」という。YCCの修正に当たっては日銀は±25bpのレンジを適切とした21年3月の分析をまず取り下げる必要があるとしつつ、「日銀はまず政策を検証して目標レンジ拡大の根拠を提示し、米国債利回りの低下局面で実際にレンジ拡大に踏み切るとみている」としていた。