【NQNニューヨーク=川内資子】12日の米株式市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎半導体受託製造の台湾積体電路製造(TMSC、TSM) △6.4%
12日に発表した2022年10~12月期決算で売上高は市場予想ほど増えなかったが、1株利益や営業利益が市場予想を上回った。決算説明会で、半導体需要は目先は停滞が続くものの「年前半に底を打ち、後半には健全に回復する」との見通しを示した。需要回復への期待から半導体株全般に買いが広がった。
◎IT(情報技術)サービスのコグニザント・テクノロジー・ソリューションズ(CTSH) △5.9%
12日朝に22年12月期通期の1株利益見通しを引き下げた。ただ、同時にインドIT大手インフォシスで社長を務めたラビ・クマール氏を最高経営責任者(CEO)に迎えると発表した。「多方面での経験が豊富なクマール氏の就任は、同業他社と比べた低成長などの問題を解決する上で重要な出来事になる」(ウェドブッシュ証券)と市場で評価された。
◎中南米の電子商取引のメルカドリブレ(MELI) △9.3%
ブラジルの同業アメリカナスのCEOと投資家向けの広報(IR)の責任者が退任したと12日に伝わった。約200億レアルの「会計の不一致」が発覚したことを受けた退任という。競合企業の経営を巡る不透明感が強まり、相対的な市場評価が高まるとの思惑から買いが膨らんだ。
◎空運のアメリカン航空グループ(AAL) △9.7%
12日朝に22年10~12月期の売上高が従来予想を上回ったと発表した。クリスマス前後の旅行需要が好調だったほか、値上げも奏功した。調整後の1株利益も従来予想を上回り、業績拡大への期待が高まった。
◎映画・娯楽のウォルト・ディズニー(DIS) △3.6%
株主でアクティビスト(物言う株主)のトライアン・ファンド・マネジメントが12日、トライアン創業者のネルソン・ペルツ氏の取締役就任を求める提案をした。同氏はディズニーの動画配信事業の戦略見直しなどを求めており、株主価値の上昇につながるとの期待が強まった。
◎電気自動車のテスラ(TSLA) △0.3%
一時5%下げたが、相場の上昇につれて下げ渋った。ブルームバーグ通信が12日、「中国・上海工場の拡大が遅れている」と報じたのが嫌気された。CEOのイーロン・マスク氏が率いるスペースXが提供する衛星通信網「スターリンク」と深い関係のある会社が中国で存在感を増すことを同国政府高官が懸念しているのが原因という。スターリンクを使った情報は中国のネット検閲の対象外になるため。
◎パソコン周辺機器のロジテック・インターナショナル(LOGI) ▲16.9%
10~12月期の売上高と特殊要因を除く営業利益の速報値を発表し、いずれも市場予想を下回った。23年3月期通期予想の売上高と特殊要因を除く営業利益も下方修正した。売上高は前期比13~15%減と従来予想(4~8%減)から減収幅が拡大する。マクロ経済環境の悪化と中国の供給制約が響くという。