- 景気後退は来るのか?多くの指標は「来る」と言っています。
- 景気後退はいつからか? 最短で「今年の10-11月頃から」です。
- だったらどうすれば?
- 株式なら安値を拾いましょう。来年1月からの「NISA拡充」とタイミングが合います。ただし、「次の30年」は「過去の30年」のような黄金時代とは異なります。パフォーマンスのよいアクティブ・ファンドにも分散をさせたほうがよいでしょう。
- 景気後退時の備えとしては、リスク資産の中では、米国ハイ・イールド債券が良好なリスク・リターンを示します。「ディフェンシブ資産」として、高配当株式や公益株式が「ささやかれる」かもしれません。しかし、肝心の景気後退時には、高配当株式や公益株式に比べ、米国ハイ・イールド債券が優位です。
景気後退を予見する指標;景気後退は来る。
景気後退を予見する精度が高い指標はさまざまにあります。
それらの現在の水準は、
- 今後の景気後退の訪れを示唆しているか、
- 過去には、景気後退の中でのみ見られたような水準、
です。
8つ、お見せします。
景気後退の判定指標;いまいまは景気後退ではない。
ただし、「いまが景気後退か」と言えば、筆者は「そうではない」と考えています。
米国の景気後退を判定するのは、全米経済研究所(NBER)です。
全米経済研究所(NBER)のウェブサイトによれば、景気後退を判定する際には、幅広い指標を見るとしているものの、次の7つの指標を挙げています。
- 実質個人所得(景気後退時の一時給付金などの移転収入を除く)
- 雇用統計(事業所調査)
- 雇用統計(家計調査)
- 実質個人消費支出
- 実質小売売上高
- 実質卸売売上高
- 鉱工業生産指数
7つすべてをひとつの図に示すと、次のとおりです。
細かく見ると、【濃い青】の「鉱工業生産指数」が先行しているように見えます。しかし、2015年のように、同指数がマイナスになっても景気後退に行かなかったこともあります。それ以外の指標を見ればおわかりのとおり、家計全般への影響が限定的であったためでしょう。
直近部分を拡大してみます。そうすると、「生産」や「雇用」、「所得」などは、伸びが鈍化しているものの、まだ比較的高い水準です。したがって、まだ景気後退には入っていないように思えます。
いずれにせよ、わかりにくい図です。
Point of no return
そこで、【上の図】をシンプルにするために議論をシンプルにすると、全米経済研究所(NBER)は、これら7つのうち、「実質個人所得(移転収入を除く)」と「雇用統計(事業所調査)」に最も大きなウェイトを置いているとしています。
これら2つだけを図にすると、次のとおりです。
どちらが先行するかは図からは必ずしも判然としません。
しかし、「所得=①賃金×②雇用者数」であり、①「賃金」には下方硬直性があるほか、②とくに米国の場合はまずは「雇用」で調整するため、「雇用」が考えやすいでしょう。
考えるべきは、「雇用の伸びがどのくらいまで鈍化したら、もう回復する力がなくなって、景気後退に至っているか」です。
【次の図】に【青い帯】で示すとおり、雇用者数の伸びは、米国の人口動態に合わせ、だんだんと鈍化してきています。
人口や雇用者数の伸びが鈍化した1980年代以降を見ると、前年比で「+1.5%」を割り込むと「もう戻れなくなり」(point of no return)、景気後退に向かっています(→【図中の赤線】を参照)。
景気後退はいつ始まるか;最短で、今年10月から11月頃
雇用者数の伸びは、直近時点が前年比「+3.3%」で、人口動態に抗うような大きな伸びです。
【次の図】の【赤い網掛け部分】のとおり、過去を見ると、前年比「+3.3%」だった雇用の伸びが、「+1.5%」まで鈍化するには「9カ月程度」(中央値)を要しています。
加えて言えば、「+1.5%割れ」即「景気後退」ではなく、「+1.5%割れ」から「景気後退開始」まで、最大で13カ月程度の期間を要しています。
以上をまとめれば、景気後退に行くとしても、その時期は「最短で、今から9ヵ月後の、今年10月から11月頃」となります。
景気後退が来るなら、どうすれば?
株式なら安値を拾いましょう。来年1月からの「NISA拡充」とタイミングが合います。ただし、「次の30年」は「過去の30年」のような黄金時代とは異なります。パフォーマンスのよいアクティブ・ファンドにも分散をさせたほうがよいでしょう。
景気後退時の備えとしては、リスク資産の中では、米国ハイ・イールド債券が良好なリスク・リターンを示します。「ディフェンシブ資産」として、高配当株式や公益株式が「ささやかれる」かもしれません。しかし、肝心の景気後退時には、高配当株式や公益株式に比べて、米国ハイ・イールド債券が優位です。
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