日銀による「異次元」の金融緩和政策に大きな影響を受けてきた債券市場では、植田和男氏の総裁就任が見込まれる日銀新体制への期待が高まっている。QUICKが2月27日に発表した2月のQUICK月次調査<債券>で、植田氏が総裁に就任した場合の金融政策への期待度を聞いたところ、「期待できる」「大いに期待できる」が合わせて72%を占めた。「期待できない」は5%にとどまった。
黒田東彦総裁のもとで10年近く続いてきた大規模な金融緩和策は、国内債券市場の景色を一変させた。黒田総裁の10年間の金融政策について100点満点で評価してもらったところ、債券市場関係者の付けた点数の平均は55点だった。
黒田日銀の個別の政策に関しての設問では「量的・質的緩和」について「大いに評価する」「評価する」との回答が8割を超えたのに対し、「マイナス金利」は5割超、「イールドカーブ・コントロール(YCC)」は7割超が「評価しない」「全く評価しない」と答えた。「市場とのコミュニケーション」については87%が否定的な見方を示した。回答者からは「植田総裁のもとでコミュニケーションの改善を望む」(投信投資顧問)との声もあった。
さらに、現時点で長期金利のターゲットを撤廃した場合、10年金利の安定的な居所が何%になるか予想を尋ねたところ、平均が0.85%、最頻値は1.00%だった。足元の10年金利は日銀が許容する変動幅の上限である0.5%近辺での推移が続いているが、その2倍程度が本来の水準とみる市場関係者が多いようだ。今回の調査では、日銀が次に行う金融政策修正を「長期金利ターゲットの撤廃」と予想する声が過半数に達している。
調査は2月20~23日にかけて実施し、債券市場関係者114人が回答した。
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