日本最大級のアートフェアである「アートフェア 東京」が3月9日(金)からの4日間、東京国際フォーラムで開催された(9日は招待日)。国内外から多くの人々が集まり、総来場者は5.6万人に達した。アートフェア期間中、会場の別ホールでは、SBIアートオークションによる特別企画セールが開催された。本セールは “わたしたちの生きる現代社会をアートによって再定義する”というコンセプトのもと、昨年に開始されたセールで、今回で2回目の開催となる。
著名作家のセールが活況
国内外で活躍する現代美術作家のオリジナル作品78点、マルチプル作品9点、合計87点の作品が出品された。通常、SBIアートオークションで開催されているセールと比較すると作品点数は少なかったものの、オリジナル作品を中心に優品が揃い、見応えのあるセールとなった。落札総額は、7億9778万9500円(落札手数料含む・以下同)。会場だけでなく、オンラインや電話からのビッドも活発に展開され、不落札はわずか2点のみで、落札率97.7%という高記録を達成した。
最近のオークションで活況な競りがみられる谷口正造が、今回のセールでも大幅な伸びを見せて会場を沸かせた。LOT.015《MOON SONG》(65.2×65.2㎝、アクリル・色鉛筆・木製パネル)は、落札予想価格30~50万円のところ、483万円で落札された。落札予想価格下限の約16倍にもなる価格で落札されている。この勢いがどこまで続くことになるか注目される。
草間彌生の代表的なモチーフ作品である“かぼちゃ”を描いた作品がトップロットを記録した。LOT.058《かぼちゃ(B.H.T)》(41.0×31.8㎝、アクリル・キャンバス)は、落札予想価格7000~1億3000万円のところ、1億7250万円で落札されている。次点には、井田幸昌の大型のオリジナル作品がランク入りを果たした。LOT.055《Picasso》(194.0×162.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格1200~2200万円のところ、5520万円で落札された。高額な予想価格にはなるが、その予想を大きく上回る価格で落札されている。グローバルに活躍し、多くのコレクターからの熱い視線を集めている井田は2019年のオークション初出品の頃から好調で、堅調に推移している。
松山智一、落札価格に安定感
今回は、松山智一(まつやま・ともかず、1976‐)に焦点を当てる。松山は、アメリカ・ニューヨークを拠点に世界各地で活躍している現代美術家である。東洋と西洋、現代と古典、抽象と具象など対極するいくつもの要素が絶妙に組み合わせられ、緻密で色彩豊かに描かれた作品を特徴としており、平面作品や立体作品だけでなく、近年ではパブリックアートなども多く手掛け、国内外で高く評価されている。
セール中盤に出品されたLOT.047《Expecting Island in the Sun》(61.0×46.0㎝、アクリル・ミクストメディア・キャンバス)は、落札予想価格450~750万円のところ、954万5000円で落札された。
今回の作品と同サイズ・同技法の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。2021年9月の出品では、落札予想価格250~350万円のところ、約550万円で落札されている。翌年6月には、約410万円での落札となり、若干下降を見せるが落札予想価格上限近辺での落札。2023年に入ってからは約700~950万円で落札されている。常に落札予想価格上限を上回る価格で落札され、右肩あがりに推移しており、更なる上昇も期待される。現状、安定した作家といえるだろう。
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※次回のSBIアートオークション開催予定は5月26日、27日
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