【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げの織り込みが進んでいる。米金利先物の値動きから米金融政策を予想する「Fedウオッチ」をもとに年内の政策金利のパスを描くと、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の予想は前週末5日時点で「4.25~4.50%」。この中央値(4.375%)を予想確率(49%台)で加重平均すると4.4%となる。1週間前の5月1日時点では「4.50~4.75%」(中央値が4.625%、同加重平均後で4.6%)に位置していたが、市場の予想は切り下がっている。
FRBは5月2~3日に開いたFOMCで0.25%の利上げを決定し、政策金利を5.00~5.25%とした。もっともFOMC後の声明では「追加の政策措置が適切」とした前回会合時の表現を修正し、利上げ打ち止めの可能性を示唆。市場では、現行の水準が最終到達点との見方が強まった。さらに4日の米株式市場で米中堅銀行の経営の先行き不透明感から一部の地銀株が大幅安となり米金融不安が意識されたのも、政策金利の予想水準を押し下げたようだ。
5日発表の4月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比25万3000人増と、市場予想(18万人増)を大きく上回った。失業率も3.4%と市場予想(3.6%)を下回り、労働市場の強さを映した。労働需給の逼迫が続く限りインフレ圧力も目立って弱まることはなく、FRBは高めの政策金利を維持する必要があるとの声も聞かれる。今後の米政策金利の織り込みは経済指標次第で変化しそうだ。