日本企業の景況感が改善している。QUICKが18日に発表した5月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から2ポイント改善のプラス5だった。改善は2か月ぶり。非製造業のDIは3ポイント改善のプラス32で、全産業でもDIが改善した。
雇用人員が「過剰」と答えた割合から「不足」を引いた雇用人員DIは、製造業で前月比4ポイント改善のマイナス24だった。一方、非製造業は1ポイント低下のマイナス52と2カ月ぶりに低下した。経済再開により個人消費が堅調に推移するなかで、サービス業の人手不足が続いている。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短期観測調査としてまとめている。5月調査は5月1日から15日まで実施し、250社が回答した。
給与のデジタル払い解禁、「導入検討」は1%
特別調査では、東京証券取引所が上場企業に対し「資本コストや株価を意識した経営」に向けた取り組みを要請したのを受け、市場での評価を高めるために強化を考えている取り組みを複数選択式で聞いた。「人的資本への投資を推進する」(47%)が最も多く、続いて「ROEやPBR、時価総額など、資本収益性・株価に関する指標を経営目標に取り入れる」(44%)、「投資家との対話やガバナンスを向上させる」(38%)という結果になった。「特段の対応強化は考えていない」は1%にとどまった。
また、4月に解禁となった給与のデジタル払い制度への対応についても尋ねた。「しばらく様子を見る」(42%)が最も多く、「導入するつもりはない」(36%)が続いた。「導入を決めた」との回答はゼロ、「導入に向け検討している」は1%と、積極的な制度利用は調査時点では見られなかった。回答企業からは「導入には様々な課題が生じていると考えている」との意見もあった。
(QUICK Money World 中田真裕)