SBIアートオークションによるLIVE STREAM AUCTIONが4月14日(金)15日(土)の2日間、開催された。オークションは、今年2月に移転したオフィスに併設された新しいLIVEスタジオからライブ配信で行われた。落札総額2億8698万8250円(落札手数料含む・以下同)、落札率90.3%。友沢こたおや今井麗など、最近注目されている作家の競り上がりも多くみられ、活況なセールとなった。
グラフィティ系アーティストの騰勢目立つ
1日目は、落札予想価格平均22~36万円程度の作品が出品された。マルチプル作品を中心に269点の出品があった。単日の落札総額は9212万750円、落札率は89.6%を記録している。バックサイドワークスの版画作品LOT.046《河合塾》(I.53.0×53.0、シルクスクリーン、ed.30)が、最高額で落札された。落札予想価格70~120万円のところ、333万5000円で落札されている。引き続き、3点のバックサイドワークスの版画作品が出品された。落札予想価格は同額の70~120万円で、それぞれ落札予想価格上限あたりの100~130万円程度で落札されている。4点の中では、エディション数も少ない、大手予備校のポスターで使用されたお馴染みのモチーフ作品に人気が集中する結果となった。
2日目は、落札予想価格平均72~116万円程度の作品が出品された。オリジナル作品を中心に184点の出品があった。単日の落札総額は1億9486万7500円、落札率は91.3%だった。最高額で落札されたのは、LOT.321、KYNEの版画作品15点とKYNEと村上隆とのコラボレーション版画作品3点がセットになった作品。落札予想価格500~800万円のところ、1380万円で落札された。次点となったのは、KYNEのオリジナル作品だった。KYNEは3点の出品があったが、いずれも落札予想価格上限を超えて落札されており、好調だった。総じて、グラフィティ系アーティストの勢いが目立つ2日間となった。
予想に反し落札価格が上昇
今回は、くらやえみ(くらや・えみ、1995‐)に焦点を当てレポートする。くらやは、少女をテーマにしたマンガのような絵画を描くことで知られ、マンガ芸術家とも称される。若い頃から活躍の場は広く、国内外で個展やグループ展を開催した他、香港バーゼル、NYフリーズにも出展した経歴を持つ。多くの作品発表の場において、芸術と日本のマンガが融合したくらやの作品は、高く評価されている。この5月には、所属しているカイカイキキのギャラリーで個展を開催。今までの作品では見られなかったような構図の新作なども発表し注目を集めた。
本セールでは2日目の序盤、2点のオリジナル作品が出品された。セーラー服の少女を丁寧に書き上げ作品LOT.291《Untitled》(21.0×14.7㎝、ペン・紙)は、落札予想価格20~30万円のところ、80万5000円で落札されている。続くLOT.292《Untitled》(17.0×12.5㎝、色鉛筆、ボールペン、油性ペン、紙)は、落札予想価格15~25万円のところ、60万9500円で落札された。
後者の作品と同サイズ・同技法の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。
2020年の出品では、落札予想価格10~15万円のところ、約16万円で落札されている。大きな競り上がりは見られないスタートだったが、翌2021年には、落札予想価格は2倍まで伸び、落札価格は、50万円近くまで上昇した。2022年には、ほぼ横ばい推移となる。今回のセールでは、落札予想価格がやや下降設定となったが、落札価格は大きな上昇を見せた。時価指数も右肩あがりに推移しており、好調だ。
更なる活躍が期待される若手作家の今後の動向を注視していきたい。
(月1回配信します)
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※次回のSBIアートオークション開催予定は7月14日、15日
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