【日経QUICKニュース(NQN) 阿部美佳】国内債券の市場機能が改善しつつあるとの見方が増えている。大規模な金融緩和策が長く続いた影響で、ひと頃は長期金利の不自然な低下による利回り曲線(イールドカーブ)のゆがみなどが指摘された。だが、日銀が1日発表した債券市場サーベイでは、機能度を示す指数が5四半期ぶりに改善。金融緩和の「副作用」を巡る議論も、足元で小休止となっている。
日銀がまとめた5月の債券市場サーベイで、債券市場の機能度判断指数(DI)はマイナス46だった。このDIは、取引の活発さや円滑さといった機能度が「高い」と答えた割合から「低い」と答えた割合を引いて算出する。前回(2月調査)のマイナス64から大幅に改善した。
3月以降、欧米の長期金利が水準を切り下げたのを受けて国内長期金利も日銀が許容する変動幅の上限(現行で0.5%)を下離れするようになった。これが取引のしやすさにつながったようだ。昨年12月、市場機能低下への対応策として日銀が、許容変動幅を「プラスマイナス0.25%」から「同0.5%」に拡大した効果もあったようだ。
機能改善を後押しした国内外の金利低下は、米欧の銀行システムへの不安の高まりや、景気悪化に配慮して米欧の中央銀行が利上げを休止する可能性が意識されたことが要因だ。
日銀によるサーベイの5月調査の回答期間(5月1~10日)、長期金利は0.380~0.430%と、日銀が上限とする0.5%を十分に下回る水準で推移していた。前回調査期間(2月1~7日)に長期金利が0.465~0.495%と0.5%に近い水準で推移していたのとは対照的だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美・チーフ債券ストラテジストは、債券市場の機能度がこのところ改善しているという市場の見方を踏まえ「(金融緩和の)副作用対策として、日銀が直ちに(市場から)政策修正を迫られることはなくなった」と分析する。
ただ日銀のサーベイは、市場機能の改善が道半ばであることも示す。実際に取引した相手の数について「多い」と回答した割合から「少ない」の割合を引いて算出した取引相手数判断DIはマイナス30と、前回(マイナス27)から悪化した。ある日銀関係者は4月に「(市場機能が改善したかにみえる状況は)海外の金融不安などの影響があってのこと。真の機能改善を意味するとは思っていない」と話していた。
市場機能は、ひとまず改善していると多くの市場関係者が受け止めているようではあるものの、引き続き経過を見守る必要がありそうだ。