7月14日(金)15日(土)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山のヒルサイドフォーラムで開催された。今回のセールでは、国内外作家215名(他作家・共作出品は1名でカウント)、387点の作品が競りにかけられた。出来高は、落札総額6億3186万7500円(落札手数料含む・以下同)、落札率88.6% に達した。落札予想価格の上限を超えて落札された作品は、全体の約40%を占め、総じて活況なセール結果となった。
加藤泉が予想価格の約9倍で落札
1日目は、マルチプル作品を中心に落札予想価格平均27~43万円程度の作品180点がセールにかけられた。単日の落札総額は7818万2750円、落札率は88.3%を記録している。この日のトップロットは、村上隆と味覚糖のコラボレーション作品LOT.038 《100種 complete お花スタンド ハッピーレインボー》(164.0×140.0×73.5㎝、ミクストメディア、ed30)だった。本作は、2013年4月に村上隆が映画初監督作品『めめめのくらげ』公開した際に発表された立体作品で、140㎝サイズのフラワーモチーフの花弁部分に味覚糖の商品のオリジナルデザインケースを100種類はめ込んだフラワースタンドである。落札予想価格100~150万円のところ、落札予想価格上限を大幅に上回る414万円で落札された。
2日目は、オリジナル作品を中心に落札予想価格180~290万円程度の作品207点がセールにかけられた。単日の落札総額は、5億5368万4750円、落札率は88.9%を記録している。注目を集めたのは、オークションカタログの表紙を飾った立体作品で、画家であり彫刻家としても知られる加藤泉のLOT.196《無題》(104.2×39.2×38.6㎝、アクリル絵具・木炭・シリコン・木・椅子)。2007年東京・新富町のARATANIURANOギャラリーで開催された「人へ」展で展示された作品である。落札予想価格200~300万円のところ、2760万円で落札された。入札は白熱し、落札予想価格上限の約9倍近くまでの伸びを見せた。両日ともに、存在感ある立体作品が盛り上がりを見せるセールとなった。
小西紀行、予想を上回る落札が続く
今回は、小西紀行(こにし・としゆき、1980‐)に焦点を当てる。小西は、幼少期の自分、家族、身近な人の写真などをもとに、筆だけでなくタオルや手指などを使った大胆にうねる自由な筆致で、モデルの特定情報を排除した人物を描き続けている。その独自の表現は、鑑賞者のイマジネーションを刺激する。
本セールでは、2日目に、ひとりの人物を描いたオリジナル作品が1点出品された。LOT.199《無題》(65.2×53.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格50~80万円のところ、落札予想価格上限に対し約4倍となる322万円で落札された。
出品作品と類似モチーフ、同サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。2018年の出品では、落札予想価格15~25万円のところ、63万円程度で落札されている。2021年の出品では、落札予想価格が25~35万円と上昇を見せるが、落札価格は横ばい推移となっている。2022年になると、落札予想価格が60~105万円と更なる上昇を見せ、落札価格も221万円までの高い伸びを見せる。
2023年、落札予想価格に若干の下降がみられるが、落札価格は前年の1.4倍まで伸びている。いずれの年も、落札予想価格上限を大きく上回る価格で落札され、好調が続いている。この上昇基調がいつまで続くか期待が集まる。
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※次回のSBIアートオークション開催予定は9月15日、16日
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