写真:マレットジャパン
マレットオークションで、”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#230727、2つのオークションが7月27日(木)に開催された。会場を設けず、オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、落札予想価格平均13~20万円程度の作品が78点出品された。落札総額は887万円、落札率は59%だった。一方、通常のセール#230727では、落札予想価格平均75~110万円程度の作品が、158点出品され、落札総額は、1億6289万円、落札率は75.9%となった。2つのセールの落札総額は 1億7176万0000円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は70.3%を記録した。
今井麗の作品が堅調
Sale#230727では、今井麗の作品が、落札予想価格を大幅に上回る落札で盛り上がり、注目を集めた。一輪のシャクヤクを小さなキャンバスに大きく描いた作品、LOT.064《フラワー》(22.0×27.0㎝、キャンバス・油彩)は、落札予想価格50~80万円のところ、落札予想価格上限の3.75倍となる300万円で落札された。2020年頃よりオークションでたびたび見かけるようになった今井は、競り上がる事例が多く、堅調が続いている。
次に上昇率が高かったのは、セール後半に出品されたアンドレ・コタボの作品。LOT.127《おもちゃの兵隊》(31.5×65.0㎝、カルトン・油彩)は、落札予想価格15~20万円のところ、落札予想価格上限の2.4倍となる48万円で落札された。他にも、ヤン・スメタナ、モーリス・ブリアンションが落札予想価格上限の1.8倍程度の高い伸びを見せている。また、モイーズ・キスリングの女性像が700万円の高額落札となり、好結果を残した。セール後半に続いた海外作家の作品は、活発な競りが展開された。海外作家の活況が印象に残るセールとなった。
辰野登恵子の好調持続に期待
今回は、日本を代表する版画家・抽象画家として知られる辰野登恵子(たつの・とえこ,1950-2014)に焦点を当てる。 辰野は、一貫して平面構成による抽象表現を追求し、版画・油彩作品で、格子や線、特定のモチーフなどの反復や連続を基に、技法に合わせた質感で独自の表現を生み出した。芸術選奨文部大臣新人賞や毎日芸術賞などの受賞歴があり、国内外の展覧会への出展歴も多く、現代絵画のトップランナーとして活躍した画家である。
本セールでは、青とピンクの円形モチーフが並ぶペインティング作品1点が出品された。LOT.100《Aug-16-2007》(45.5×53.0㎝、キャンバス・アクリル)は、落札予想価格120~180万円のところ、200万円で落札されている。
本作品と同サイズ、同技法の過去の落札データを抽出したACFパフォーマンス指標で、動向を読む。
2017年は、落札予想価格120~170万円のところ、落札予想価格下限に近い125万円で落札されている。1年空けて2019年には、落札予想価格、落札価格ともに200万円前後と上昇推移をみせる。2020年、落札予想価格は2017年同等程度となり下降を見せるが、落札予想価格上限に近い185万円で落札され好調を保ちながら推移している。時価指数からも200万円前後がだいたいの目安と分析できる。既に評価が確立されている作家の好調持続が期待される。
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※次回のマレットオークション開催予定は10月5日
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