【QUICK Money World 辰巳 華世】各種産業に欠かせない最先端かつ高度な技術(ハイテクノロジー)をもち、マーケットの主役となるハイテク株。相対的に株価が高く時価総額が大きいハイテク株の動向はマーケットに大きな影響を与えます。今回はそのようなハイテク株について、特徴や注意すべき点、日本・米国の代表的な銘柄、今後注目されるであろう銘柄を紹介します。
ハイテク株とは
ハイテク株とは、電気機器、精密機器、IT(情報技術)の分野で高い技術力をもち、ハイテク関連製品やその周辺部品などを手掛ける企業の株式のことです。国内の業種では、「電気機器」や「精密機器」の中に多く含まれています。電子部品や、情報機器、精密機器、半導体や人工知能(AI)やドローン、ロボットなどに関する銘柄を指します。
グローバルな事業展開で収益力に優れている国際優良株が多いです。具体的な国内銘柄では、ファナック(6954)や東京エレクトロン(8035)などが有名です。
ハイテク株は、値動きが市場全体に大きな影響を与えるので常にマーケットで注目を集める分野です。マーケットに関する記事で「値がさ(株価が高い)ハイテク株を中心に買いが入り、相場が大きく上昇した」など「ハイテク株」という言葉をよく目にすると思います。米国ではナスダック市場、日本では東証プライム市場やスタンダード市場に多くのハイテク関連株が上場しています。
ハイテク株・ハイテク関連株の例
ハイテク株やハイテク関連株は、国内では「電気機器」や「精密機器」の中に分類されている例が多く見受けられます。具体的には、半導体や電子部品、コンピューター、情報機器、精密機械、ロボット、ドローン、AI(人工知能)、ソフトウエアなど、ハイテク企業は幅広い分野に広がっています。技術の進歩によって自動運転やドローンやAIなど新しい分野がハイテクに分類されることもあります。また、今後も技術進歩によって新たにハイテク分野とされる業種もでてくる可能性があります。
ハイテク株の特徴
○国際優良株とは
ハイテク株の特徴の一つに、グローバルな事業展開で収益に富んでいる「国際優良株」が多いことがあります。国際優良株とは、企業財務や業績、株主への利益還元姿勢が良好な企業です。そういった銘柄は、海外投資家からも注目を集めます。米国では、収益性・成長性・財務基盤に優れた企業を「ブルーチップ」と呼んでいます。
○グローバル市場で競争している
ハイテク株はグローバル市場で競争をしています。特に米国のハイテク株の動向は、日本や韓国、台湾、中国、イスラエル、ロシアなどのハイテク株にも大きな影響を与えます。米国のハイテク株の比率が高いナスダック市場が大きく売られると、東京市場でも値がさハイテク株を中心に売りが出て相場が下落する傾向があります。逆にナスダック市場でハイテク株が買われると東京市場でも同じ傾向があります。ハイテク株は常にマーケットで注目を集める分野です。
○日経平均に影響を与えている
マーケットの記事で「日経平均への寄与度の大きい値がさ株」という表現を目にしたことがあると思います。指数を構成するハイテク株は株価水準が高い傾向があります。日経平均株価は修正単純平均株価ですが、指数採用銘柄の中で株価水準が相対的に高いハイテク株の値動きは日経平均に大きな影響を与える傾向があります。このためハイテク株の値動きは、株式相場に大きな影響を与える要因の一つとして注目されます。
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日本のハイテク株
日本のハイテク株を見てみましょう。紹介したように、ハイテク株は株価水準が高く時価総額が高い銘柄が多いです。そして、市場に大きな影響を与えます。具体的な銘柄としては、東京エレクトロン、ファナック、アドバンテスト(6857)、ローム(6963)、村田製作所(6981)、ソニーグループ(6758)、キーエンス(6861)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、TDK(6762)、SUMCO(3436)などが挙げられますが、最先端の技術をもつ上場企業は他にも多数あります。
アメリカのハイテク株
米国ではナスダック市場に多くのハイテク株が上場しています。米国のハイテク株の動向は世界全体に大きな影響を与えます。かつては「GAFAM」と呼ばれる、グーグルの親会社アルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトが代表的な銘柄でした。2023年に入るとこの5銘柄のほかに、電気自動車のテスラ、半導体最大手のエヌビディアの2銘柄を加えて「マグニフィセントセブン(壮大な7銘柄)」と呼ぶこともあります。このほか、世界最大規模の半導体メーカーインテル、半導体装置メーカーのラムリサーチ、クリエイティブ・デザインのツールを提供するアドビ・システムズ、通信・ネットワーク機器のシスコシステムズなど、注目されるハイテク株は枚挙にいとまがありません。
今後注目のハイテク株とは
○テスラ
イーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める米国の電気自動車(EV)メーカー。電気自動車の世界最大企業です。脱炭素社会に向けて電気自動車の普及は必須であり、今後の成長にも期待が集まります。
○メタ・プラットフォームズ
メタ・プラットフォームズは、フェイスブックが社名を変更したものです。社名のメタは、メタバースを表しています。メタバース分野は今後成長が期待されている分野であり、今後の同社の動向にも注目が集まります。旧フェイスブックからチッカーシンボルは変わりましたが「GAFAM」銘柄の一角です。
○アマゾン・ドット・コム
Eコマース事業や世界最大のクラウドサービスを展開しています。新型コロナウイルスの感染が拡大した期間に「巣ごもり需要」が高まり、会員数と売上高を伸ばしました。配送特典など便利に利用できる有料会員サービスである「プライム会員」の継続率が高く、今後も成長が期待されています。設備投資や研究開発など成長分野への積極的な投資により企業価値を高める方針をとっており、無配を継続しています。
○ジュミア・テクノロジーズ
アフリカ大陸でEコマース事業やマイクロペイメントサービス(少額決済)を展開しています。アフリカの「アマゾン・ドット・コム」と称されています。アフリカ大陸は人口が12億人と大きい半面、ネットの普及率は低く、潜在的な巨大市場として今後の成長性が期待されています。
○テラドック・ヘルス
米国最大手のオンライン診療サービスを展開する企業。遠隔診療のプラットフォームを提供しています。コロナ禍で需要が伸びました。遠隔診療の利便性が広く知れ渡ったことに加え、5G(第5世代移動通信システム)や今後始まる6Gの普及が追い風となり、今後も遠隔診療の成長は期待されています。
ハイテク株の注意点
○ハイテク株は値動きが荒い
ハイテク株は、株式市場で常に注目を集めている分野になります。市場を動かすような金融政策の変更などイベントが起こると、マーケットの中心にいるハイテク株は景気動向への反応などから値動きが大きくなる傾向があります。ハイテク株は短期資金の出入りも激しく、値動きが荒くなりやすいです。
○ハイテク株の決算に注意
ハイテク株はグローバルな優良企業が多く、その決算内容も常に注目されています。ハイテク株は決算の動向に左右されやすく、決算日をまたぐ決算見合いの取引には注意したいです。市場予想とは異なる決算内容だった場合や業績見通しが示されるような場合には、値動きが大きくなる可能性もあります。
まとめ
ハイテク株とは、電気機器、精密機器、IT(情報技術)の分野で高い技術力をもち、ハイテク関連製品やその周辺部品などを手掛ける企業の株式のことです。グローバルな事業展開で収益力に優れ、継続的な成長が期待される国際優良株が多く、株式市場で注目されています。
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