QUICKが10日に発表した10月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の景況感にあたる業況判断指数(DI)はプラス12だった。前月調査から2ポイント改善した。全産業のDIは1ポイント改善し、プラス26だった。
現在の円相場について「想定より円安」と答えた企業の割合から「想定より円高」と答えた割合を引いて算出する「円相場DI」は、製造業でプラス91と1年3カ月ぶりの高水準となった。上昇は2カ月連続。円相場は10月初めに一時1ドル=150円台を付けるなど、円安・ドル高が進んでいる。円安は輸出企業の採算を改善させる一方、輸入資材コストの上昇で一部業種の業績が悪化したり、国内消費全般が抑制されたりするリスクもある。10~11月は企業の決算発表が相次ぐ時期となるため、業績修正の動向にも注目が集まりそうだ。
QUICKは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。10月調査は9月25日から10月4日まで実施し、241社が回答した。
年度後半の資金使途、「設備投資」や「人材投資」が上位
話題のトピックについて聞く特別調査では、政府が10月中にまとめる経済対策のうち、特に期待する項目を聞いた。「物価高への対応」が42%と最多だった。「環境・AI・半導体など先端分野への官民投資加速」が24%、「労働市場改革と構造的な賃上げ」が17%で続いた。「資産運用立国に向けた改革や『資産運用特区』創設」は4%にとどまった。
2023年度後半に最も重視する資金使途を聞いたところ、「設備投資」が37%で最多、「人材投資」が22%で続いた。上位2項目の順位は昨年8月に聞いた同様の設問と同じ結果になった。昨年の調査と比較すると「株主還元」が2%から6%へ上昇した一方、「M&A」は14%から7%に低下した。
(QUICK Money World 中田真裕)