【QUICK Money World 辰巳 華世】不動産投資に興味を持つひとが増えています。老後の備えや第2の収入源として人気がある不動産投資。今回はそんな不動産投資について、不動産投資で資産運用をする方法や、ポイント、成功のコツや注意点などについて紹介します。
■不動産投資で資産運用を行う方法
不動産投資とは、不動産を賃貸することで生まれる家賃収入によるインカムゲインと、不動産の売却で収益化をはかりキャピタルゲインで利益を得る投資のことです。
個人投資家の資産運用には、株式や投資信託など色々な種類がありますが、不動産投資はその中でも少し趣の異なった投資かもしれません。株式などの投資は、投資した後に自分の努力によって株価が上がったり、配当が増えたりすることはありません。
一方で、物件を所有する不動産投資の場合、自分がオーナーとなり家賃を決め、物件の価値を高める修繕をしたりと、自分の判断がその後の収入に大きな影響を与えます。「賃貸経営」という言葉もあり、不動産投資は、経営・ビジネスをしているのと同じ感覚を持つことが大切です。
不動産投資にはいくつかの種類があります。投資金額も物件によって異なります。例えば、ビルやマンションを丸ごと一棟所有する方法や、マンションの1室に投資する方法、アパートに投資したり、自分の自宅と賃貸の機能を併せ持った賃貸併用住宅を建てるなど様々です。
不動産投資はレバレッジを効かせた投資です。一般的に多くの不動産投資家は、物件価格が大きいため手持ち資金だけで物件を購入することが難しくローンを組んで投資しています。家賃収入の一部をローン返済に充てる仕組みです。
ここからは不動産投資のインカムゲイン・キャピタルゲインについて見ていきましょう。
不動産投資によるインカムゲインは、物件からの家賃収入です。ここで知っておきたいことは、家賃がまるまる利益として入ってくるわけではないことです。イメージで言うなら、家賃収入は売上高です。そこから売上高を得るためにかかった費用を引いて純利益を出していきます。
ローンがあるうちは、毎月ローン返済が必要です。金利負担も発生します。物件所有する固定資産税や都市計画税もかかります。また、家賃収入を得ると、その分の税金や物件維持にかかる経費なども発生します。毎月の家賃収入からローン返済額や税金などを差し引いた額が不動産投資のインカムゲインの純利益となります。
こう見ると意外と不動産投資のインカムゲインは少ない様に見えますが、不動産投資には減価償却などキャッシュアウトしない費用もあります。これにより例えば会社員の不動産投資の場合、会社員給与の所得税の圧縮などのメリットもあります。
この様に不動産投資は一般的な株式投資などとは違った側面がたくさんあり、税制など様々な知識を活用し不動産賃貸業を「経営」する感覚が大切になります。
不動産投資によるキャピタルゲインは、投資した物件や土地の売却による収益化で利益を得ることです。価格が購入時より高ければ、その差が利益となります。売却を前提に物件を購入する時は、次の買い手が見つかりやすい物件かどうかを見極めて投資することが大切です。
実は不動産投資には、実際の物件を所有する他に、不動産投資信託(REIT)に投資する方法もあります。REITとは、不動産投資法人が投資家からお金を集め、マンションやオフィスビル、商業施設やホテルや物流倉庫など多様な不動産に投資をし、投資先物件から入る賃貸収入や売買による利益を投資家に分配する金融商品です。株式と同じ様に上場しています。
REITと実際の物件を所有する不動産投資の違いの一つは、借り入れというレバレッジを効かせられるかどうかです。例えば、一般的な会社員が3000万円分のREITを買うのは大変です。REITを買うために銀行から融資を受けることは難しいと思います。
一方、物件を所有する不動産投資の場合、会社員という信用と購入物件を担保に金融機関から3000万円のローンを組むことは可能です。例えば100万円の手持ち資金で残りを全額ローンで物件を手に入れることができます。借り入れというレバレッジを効かせ、100万円の手元資金で3000万円の物件を取得して投資を開始できる点が不動産投資の魅力の一つと言えます。
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■不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資のメリットとデメリットについて見てみましょう。
○メリット
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家賃収入を得られる
入居者があれば不動産投資は毎月安定的に、借り主から家賃収入を得られます。
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相続対策や節税ができる
不動産投資の物件は、ローンを組んで購入することが多いです。ローンを組むことで、毎月のローン金利などが経費となります。その他にも減価償却費や物件の維持管理費などの経費があり、その分、所得税や住民税の節税することができます。また、借金をすることで相続税対策にも繋がります。
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ローンを組んで購入できる
手元資金ではなく、ローンを活用して購入できレバレッジを効かせた投資ができます。ローンを組む場合は、不動産会社などに相談しながら計画を立てるのが良いでしょう。
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生命保険の代わりになる
不動産取得のためのローンを金融機関から借りている時、一般的には「団体信用生命保険」と呼ばれる保険に加入することが多いです。万が一ローンの返済途中で亡くなった場合、保険適用により残債が免除されるので、生命保険の代わりと考えられます。
○デメリット
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空室リスクを負いやすい
賃貸経営の難しいところは、常に満室とは限らないことです。空室があると、その期間は家賃収入が見込めません。空室を避けるために、家賃を下げればその分収入も減ります。
一般的に空室が生まれる原因は、賃貸需要が少ない、家賃が相場よりも高い、最寄り駅から遠いなどの立地条件、住環境の悪さなどが考えられます。
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金利上昇のリスクもある
不動産投資の多くはローンを組んでいます。ローンには金利があり、金利上昇のリスクがあります。足元では物価上昇圧力から金利上昇の可能性が高まっています。金利が上昇するとローンの支払いに影響が出てきます。固定金利であれば影響はありませんが、変動金利のローン商品を選択すると、金利上昇によりローンの支払額が増え不動産収益に悪影響となります。
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老朽化とその対応が必須
投資した物件のメンテナンスが必要です。築年数が長くなるほど劣化が目立ちやすくなります。老朽化が進むと、建物の状態に合わせて家賃を下げる必要も出てくるかもしれません。一方、修繕やリフォームをする場合はある程度まとまった費用がかかります。家賃収入から修繕やリフォーム費用などを積み立てておくことも大切です。
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災害で大きな損害を被る可能性がある
稀ではありますが、地震や津波、台風など自然災害で建物の一部や全壊してしまう可能性もゼロではありません。また、火災や物件内での事件などが起こる可能性もあります。その場合は、修復や再建にかかる費用がかかります。損害保険などに加入しておくと、ある程度そのリスクは軽減できるかもしれません。
■不動産投資がおすすめの方
不動産投資は、賃貸経営という言葉がある様に、不動産賃貸業を「経営」する感覚が大切です。税制など様々な知識が求められ、勉強が必要です。なので、経営する感覚が持てる方にはおすすめです。
また、不動産投資は中長期の視点をもって投資するものです。不動産投資はインフレ対策になる投資の一つです。土地など不動産はインフレで価格が上昇する傾向にあるほか、家賃収入なども多少のタイムラグはあるもののその時の物価状況に応じて値上げすることも可能です。なので、インフレ対策を意識する人には向いている投資の一つかもしれません。
また、数十年の運用を前提に、賃貸収入を老後の生活費の一部として考えてみるなど老後資金への対策をしたい人にも良いでしょう。
節税対策をした人にも向いています。不動産投資での収入や支出は確定申告をする必要があります。減価償却費、ローン金利やメンテナンスにかかった費用などは経費として申告でき、節税効果があります。
■不動産投資を始めるときのポイント
不動産投資を始めるときのポイントについて見ていきましょう。
○経済の勉強をする
不動産投資は、ビジネスです。ビジネスをするためには、経済状況を把握することは大切です。日本における経済の現状、物価や景気対策等、経済に関する基礎知識を身に付け今後の見通しを考えられるようになることが大切です。また、税制などの知識も必要になります。
○長期的な運用を心がける
不動産投資は中長期的な投資です。1年や2年で売買を繰り返すといった短期的な運用をするケースは少ないです。運用期間については、投資物件を中長期的な視点を持って選別し、長期での運用を心がけ、少しずつ利益を得るようにしましょう。
長期的な運用のメリットについては、以下のページで解説しています。
⇒資産運用の種類と選び方を解説 初心者におススメの手法とは?自分に合った手法を選ぼう
○知っている地域や通える地域にする
不動産投資は、初期投資をして終わりではありません。その後のメンテナンスなど一定の労力がかかります。もちろん管理会社を入れるなど人に任せることも可能ですが、やはりオーナーとして実際に自分の目で確認することは大切です。投資後も幾度となく現地に足を運ぶ機会もあるでしょう。なので、自分がよく知っている地域や通える範囲で投資することも大切です。
○リスク対策を行う
不動産投資ではリスク対策が大切です。物件購入時や賃貸経営の期間中に考えうるリスクを把握し、それぞれリスク対策を準備していくことが大切です。
例えば、家賃滞納のリスクを考え、部屋を借りる人には必ず家賃保証の保険に加入してもらうや、空室リスクを避けるため、設定しておいた月数に空室が続くようなら家賃を下げて募集するなどの対策をあらかじめ考えておくと良いでしょう。リスク対策を怠ると、万が一の事態に対応できなくなったり、採算面での損失が大きくなる可能性もあります。
○利回りを信用しない
物件購入用に提示されている利回りを信用しないことも大切です。書類上の利回りはあくまで「期待値」であり、ある意味最高の状態を提示しています。空室リスクなどもあり必ず達成できるものではありません。
また、利回りの仕組みを理解することが必要です。不動産投資の世界では「表面利回り」と「実質利回り」という考え方があります。表面利回りは、物件価格に対してどれくらいの家賃収入が見込めるかと表面的な収益性を表しています。メンテナンス費などは入っておらず実質的な利回りとは異なります。
一方、実質利回りは、賃貸経営にかかる経費などを差し引いた実質的な利回りです。なので、表面利回りよりは実質利回りに重きを置く方が本来的かもしれません。ただ、実質利回りも本来入れるべき経費が本当に入っているかどうかなど自分で確認して計算したものを信用した方が良いでしょう。
○不動産投資会社選びに力を入れる
不動産投資は情報が命です。その鍵を握るのは、不動産投資会社と言われています。豊富な情報を持ち、優良物件を紹介してくれる不動産投資会社を見つけることは大切です。投資家と不動産投資会社の関係は、投資の結果にも影響を及ぼします。気兼ねなく投資の相談やアドバイスをしてもらうためにも、不動産投資会社選びは慎重にしたいところです。
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■不動産投資会社を選ぶコツ
ここでは不動産投資会社を選ぶコツを見ていきましょう。
まずは、気になる不動産会社の情報をウェブサイトなどで確認してみましょう。
○Webサイト上で確認すべき情報
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資本金額と従業員数をチェックする
その会社のサイトで、資本金や従業員数などを確認してみましょう。資本金が大きく、従業員数が多いほど、投資会社の事業規模も大きく、また取引実績が豊富と考えられます。事業規模の大きい投資会社は、それだけ多くの案件を持っており、安定した運営と充実したサービスが期待できます。
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実績や口コミを確認する
取引実績やこれまでの取り扱い事例など紹介していれば確認しましょう。また、口コミや評判サイトなどを見て、その不動産会社の評価を確認してみるのもいいでしょう。
○実際に会社にも訪問してみましょう
ネット検索などを通じてある程度の情報を収集したら、実際に会社を訪問して担当者と打ち合わせをしてみましょう。
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担当者が物件の事情を理解している
打ち合わせの中で、担当者の経験や理解度などが見えてきます。実際に物件を紹介してもらいながら、どれくらいその担当者が物件の情報を把握しているか確認してみましょう。例えば、物件の入居状況や、その物件に向いている住居人についてや、過去の修繕事情や事故情報、周辺の環境について質問してみましょう。
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デメリット・リスクを説明してくれる
担当者が物件の良い点だけでなく、デメリットやリスクを説明するかも見てみましょう。また、そもそもデメリットやリスクを把握しているかという点もチェックする必要があります。
■まとめ
不動産投資とは、家賃収入によるインカムゲインと、物件を売却することで得られるキャピタルゲインで利益を得る投資のことです。賃貸経営という言葉があるように、不動産投資はビジネスです。安定的な収入や、物件売却時の利益など魅力的な反面、さまざまなリスク対策に迫られます。リスク対策の相談や運用について的確なアドバイスが欲しい方は、不動産投資会社選びに注力しましょう。
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