ティー・ロウ・プライス・ジャパンは12月20日に、米国小型成長株に投資する「ティー・ロウ・プライス ニュー・ホライズン・ファンド」を新規設定する。為替ヘッジの有無が異なる「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」の2本を同時設定し、野村証券1社で販売する。
米国で1960年6月から運用を始め、60年以上の運用実績があるティー・ロウ・プライスの「ニュー・ホライズン運用戦略」と同じ運用戦略をとるファンドだ。この運用戦略は、米国で「成長株投資の祖」と称された同社創業者のトーマス・ロウ・プライスJr.が、成長初期段階にある小型企業の魅力を投資家に届けたいとの想いから自らが設定を主導した戦略で、米国以外で提供するのは今回が初めてとのこと。ニュー・ホライズン運用戦略のリード・ポートフォリオ・マネジャーであるジョシュア・スペンサー氏に、ファンドの特徴や米国小型株の投資妙味を聞いた。
ティー・ロウ・プライスのジョシュア・スペンサー氏
■成長性の高い小型株に特化
――ファンドの特徴を教えてください。
「米国小型株のうち、今後大きな成長が期待できると判断した企業に投資する。125~175銘柄で運用し、各銘柄の保有期間は3~5年ほどが基本だが、10年以上持ち続ける銘柄もある。大きな成長余力のある企業を成長初期の段階で見出し、中長期にわたって保有してその成長を運用成果として投資家に提供することを目指している」
「業種としては、情報技術やヘルスケア、資本財・サービス、などの分野に着目しつつ、時には金融やエネルギー分野にも柔軟に投資している。最近は産業オートメーション分野の潜在的な成長性の高さに着目している」
「一例をあげると、中小企業向けに営業の自動化ソフトウエアを提供するハブスポットや、工場などの高電圧に耐える電気設備を手掛けるハッベルなどを組み入れている。バイオテクノロジーなどの医療分野でも、創薬やガン、希少疾患などの研究・開発が目覚ましく、新たなイノベーションの芽を感じている」
――米国小型成長株の魅力はなんですか。
「イノベーション大国である米国にはスタートアップ企業やベンチャー企業が生まれる土壌があり、それらがやがて大企業へと育つこともある。だからこそ成長サイクルの初期段階である小型株には収益機会が豊富にある。『ニュー・ホライズン運用戦略』では創成期のウォルマートやアマゾン・ドット・コムなどに投資し、その後の成長を享受してきた。小型株に成長初期段階から投資して、世界経済に大きく貢献するような大企業に成長していく過程を長期にわたって見守ることができるのも、米国小型成長株に投資する魅力の一つだ」
■経営陣を重視、直接対話も
――銘柄選定のプロセスを教えてください。
「今後イノベーションが期待できる企業であるかはもちろん、競争力があるか、収益性が高いか、資金が潤沢にあるかなどにも着目する。また、厳しい局面でも乗り越えられる優秀な経営陣が揃っているかも重要視している」
「当社のリサーチチームは、担当する各業種について深い専門性を持っている。運用戦略を十分に理解し、成長余地が大きいと判断した企業を訪問して経営陣と直接対話し、投資先を絞り込んでいく。その後各銘柄についてシニアアナリストなどを交えて投資するか議論し、最終判断は運用責任者である自分が下している」
「銘柄の新規組み入れは、5~10年先も保有し続けられるかを念頭に置いて判断する。組み入れ後は、想定通りの成長ができているかを実際の運用実績や決算情報などから確認し、株価に変動があれば組み入れ割合を適宜調整する」
■新NISAの成長投資枠で活用を
――日本の投資家は「ニュー・ホライズン・ファンド」をどのように活用したらよいですか。
「日本には米国の小型成長株に特化して投資できるファンドが少ない。このファンドをポートフォリオに組み入れることで銘柄分散効果が得られ、米国大型株ファンドや割安株ファンドなどを資産運用の主軸に据えている場合には高いリターンを追加できる可能性がある。2024年1月から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)の成長投資枠に届け出る予定であり、日本の投資家の資産形成に資することができれば幸いだ」