QUICKが5日に発表した12月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で製造業の業況判断指数(DI)はプラス10と、前月調査から2ポイント改善した。全産業のDIはプラス24で2ポイントの上昇だった。国内上場企業の景況感は前月比で小幅に上向いたが、ここ数カ月でみると狭い範囲での一進一退が続いている。経営環境の先行き不透明感は晴れていない。
QUICKは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。12月調査は11月20日から30日まで実施し、236社が回答した。
国内企業では引き続き人手不足の解消が喫緊の課題だ。雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引いた雇用人員DIは全産業でマイナス49と前月から1ポイント悪化した。調査開始来の最低(2018年11、12月のマイナス50)に近い水準で推移している。特に非製造業のひっ迫感が強く、12月のDIはマイナス60とやはり過去最低(2018年11月のマイナス62)に接近している。
来年の経営に影響「原材料・エネルギー価格」「国内消費」が上位
話題のトピックについて聞く特別調査では、2024年の経営環境について影響の大きい事柄を尋ねた(2つまで回答可)。回答数が最も多かったのは「原材料やエネルギー価格の動向」で55%だった。「国内消費」(39%)や「企業の設備投資」(26%)も上位に入った。「その他」(4%)を選んだ回答者の自由記述には「人材獲得」「賃金上昇」「物流2024年問題」といったコメントがみられた。物価高や個人消費への警戒感とともに、ここにも人手不足の懸念がにじんでいる。
(QUICK Money World 中田真裕)