資産運用立国の掛け声のもと、今月から口座開設期間が恒久化された新しい少額投資非課税制度(NISA)も始まり、日経平均株価は年初からの6営業日で2112円上昇した。日経平均が年初6営業日で1100円以上上昇したのは、過去40年間で初めてである。株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)で見ても、日本株には米国株と比べてまだ割安感があり、1989年末に付けた3万8915円の最高値をついに更新するか、とはやる気持ちを抑えられない市場関係者もいるのではないか。
一方、米国では40年ぶりの高いインフレ率を抑えるべくこの2年間で5.25%の利上げを断行し、リセッション(景気後退)入りが懸念され始めている。また、米国の大統領選や世界各地の地政学リスク、異常気象リスク、急激な円高リスクなど、リスク要因には事欠かない。このような中、2024年はどのような相場になるのであろうか。
15日に発表された1月のQUICK月次調査<株式>で、毎年恒例の2024年の相場予想を尋ねたところ、日経平均の高値の平均予想値は3万7531円、安値の平均予想値は3万1387円であった。高値の時期としては、半数を超える回答者が11~12月と回答、逆に安値の時期は約半数の回答者が1~3月と回答しており、春に向けて調整するものの年末に向けて上昇する相場展開を想定する回答者が多いことがわかった。
米ダウ工業株30種平均に関しては、高値の平均予想値は3万9638ドル、安値の平均予想値は3万4387ドルであり、回答期間(9~11日)のダウ平均が3万7373~3万7801ドル(取引時間中ベース)の推移であったことを考えると、上値余地よりも下値リスクを若干大きく見ていることが分かる。こちらも、高値の時期としては11~12月とする回答者が半数を超え、安値の時期としては1~3月とする回答者が合計で約4割を占めた。
日本10年国債利回りの最高値予想の平均値は1.123%、米国10年国債利回りの最高値予想の平均値は4.433%であり、日本国債は12月に利回りの最高値を付けると予想する回答者が最も多かった一方、米国債は1~3月に利回りの最高値を付けるとの予想が計6割を超えた。また、円ドルレートは、円の最高値予想の平均が1ドル=132.8円で、10~12月に円が最高値を付けると予想する回答者が計5割超となった。
2024年度の日本の国内総生産(GDP)成長率予想の平均値は、実質で1.12%、名目で2.79%となった。また、日本の消費者物価上昇率(コア)の平均予想値は2.24%となり、2023年度よりは低下するとの予想がコンセンサスのようである。
一方、2024年度の企業業績は、一桁パーセントの増益を予想する回答者が55%を占めて最も多く、続いて10%台の増益予想が30%を占めた。逆に、企業業績は横ばい、あるいはそれ以下とする回答は計13%にとどまり、1年前の同調査で横ばいあるいはそれ以下とする回答が42%であったことを考えると、企業業績を1年前よりも楽観的に見る市場参加者が大幅に増えたことがうかがえる。
最後に、2024年の日本株投資のリスク要因として何が重要かを尋ねたところ(3つまで選択可)、「米国景気の後退」を挙げる回答者が51%で最も多く、続いて「米国大統領選挙」(42%)、「中国経済(特に不動産)の混乱・低迷」(38%)が上位に来ており、米国や中国の状況を注視する市場参加者が多いことが分かった。一方、「国内の景気・業績悪化」(13%)、「自民党政権の弱体化・機能不全」(11%)、「日銀の金融政策変更」(11%)など、国内のリスク要因を重視するとの回答で大きく目立つ項目は見られなかった。資産運用立国に向けた「貯蓄から資産形成へ」および「投資家と経営者の建設的な対話を通じた持続的な企業成長」の流れがいよいよ軌道に乗り、市場参加者の予想どおり年末に向けて株価が上昇するだけでなく、これが中長期的かつ持続的な日本株の上昇の始まりとなることを期待したい。
【ペンネーム:琴徹久】
調査は1月9~11日にかけて実施し、株式市場関係者134人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ