20日夜、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2023(FOY2023)」の表彰式が、会場とオンライン配信のハイブリッド形式で開催された。FOYは投票者がそれぞれ支持する投資信託に投票し、その獲得ポイント数で「本当によいと思える投資信託」を選出するイベントで、今年で17回目となる。今回は投資信託についてブログで情報発信するブロガーに加え、Youtubeのチャンネル運営者も投票に参加した。4年ぶりのリアル開催となり、会場には約60人が集まった。オンラインでは約70人が視聴した。
■1~4位までは昨年と同じランキングに
最も支持を集めたのは、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。新規設定された2018年に3位に入り、19年から今回まで5年連続で1位を獲得した。ポイント数・投票者数ともに断トツだった。
投票者からは「(23年中に)信託報酬がほぼ半分になったのはすばらしい」「投資を始める人におすすめを聞かれたら間違いなくこれを答える」などのコメントが寄せられた。三菱UFJアセットマネジメントの代田秀雄常務取締役は、今後もよい商品を提供する見通しを話すとともに投資行動の重要性を説き、「値下がり局面が来ても、個人投資家が投資を継続できるよう情報発信していきたい」と語った。新しい少額投資非課税制度(NISA)の開始をきっかけにファンドについての問い合わせが増えていることなどから、今年中に「eMAXIS Slim」シリーズに呼びやすい愛称をつけたいとした。
2位はニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」。20年から4年連続で2位を獲得した。自主的に既存ファンドの運用コストを引き下げ続け、低コストの投資環境をつくったことなどが評価された。3位は2年連続で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がランクインした。
上位20本は、昨年に引き続き低コストのインデックス型(指数連動型)中心のランキングとなったが、アクティブ型(積極投資型)の「結い 2101」や「ひふみ投信」なども根強く人気があった。「SOMPO123 先進国株式」は昨年18位から15位に順位をあげており、「アクティブ型なのに低コスト」「インデックス神話を覆してほしい」などのコメントが寄せられた。また「セゾン・グローバルバランスファンド」は昨年の6位から14位に後退。創業者の中野晴啓氏の解任問題などで今後の動向を注視する声が多かった。
■個人投資家にとってよりよい投資環境に変化
昨年に続き、投資信託に興味があるX(旧ツイッター)ユーザーならだれでも投票できる「#TwitterFundOfTheYear2023」も公表された。幅広い個人投資家の参加を促すのが目的。こちらでも「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が首位で、2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、3位は「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と順当な選出となった。
FOY運営委員長を務めたイーノ・ジュンイチ氏は「新NISAがスタートし、投資信託への注目度が非常に高まっているタイミングで、多くの個人投資家とイベントを共有できたことが嬉しい」「上位ファンドは代わり映えしないものの、信託報酬の引き下げなどで個人投資家にとってよりよい方向に環境が変化している。今年4月から総経費率の目論見書への掲載も始まり、投信の比較がさらにしやすくなれば、今後数年で上位ファンドの顔ぶれが変わる可能性もある」とコメントした。
<投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2023の概要>
◆投票期間
2023年11月1日から11月30日まで
◆投票資格
2023年9月30日までにブログもしくはYoutubeチャンネルを開始していること
◆対象となる投資信託
2023年9月30日までに設定された投資信託(ETF含む)。 海外籍ETFについては、日本の証券会社を通じて買付可能なファンド。
◆投票方法
投票者一人につき最大で3つの投資信託に投票でき、1つ目の投信には3点、2つ目には2点、3つ目には1点が自動的に配点される。