1月29日に発表された2024年1月のQUICK月次調査<債券>の特別質問では、日米欧3中央銀行の金融政策などが問われた。中銀の政策については、同内容の質問を2023年12月調査でも実施しており、この1カ月の債券市場参加者の見通しがどのように変化したかを確認したい。ちなみに、米10年国債利回りは前回調査期間に3.795~3.899%であったが、今回は4.118~4.179%と約0.30%ポイント上昇している。
まず米連邦準備理事会(FRB)については、最初の利下げ時期の回答割合が12月調査では3月21%、4月8%、5月17%、6月35%であったが、1月調査では3月13%、4月5%、5月14%、6月51%であった。6月までの利下げという点では、前回81%、今回82%でほとんど変化が無かったが、今回は約半数が6月と回答しており、1月公表の経済指標は家計部門を中心に堅調だったことで早期利下げ観測が後退した形となった。しかし、2024年末・25年末のFF金利の予想中央値は、それぞれ4.50%・3.50%と、前回の同水準であることは興味深い。年後半の利下げペースがかなり速いと見込まれている。2023年の米経済成長率は2.5%だったが、同調査の2024年・25年見通し平均が2%を下回っている点を勘案すると、米景気にはそれなりのブレーキがかかるとの見方が背景にあるのだろう(図表参照)。それでも、2025年の経済成長率と物価上昇率からFF金利3.5%というのは、いささか過剰な利下げ期待のように思える。
■図表:日米欧の実質経済成長率とCPI総合上昇率の見通し
次に欧州中央銀行(ECB)についても、最初の利下げ時期の見通しはFRB同様に後ずれしている。6月予想の割合が前回の41%から今回は48%へ増加し、3月・4月予想の割合の合計は32%から22%へ減少した。図表にあるように、2024年のユーロ圏景気予想はかなり弱気だが、物価上昇率が利下げを後ずれさせると見ている向きが多いのではないか。
最後に日銀のマイナス金利解除の時期だが、本調査には1月22~23日の金融政策決定会合を反映しているせいか、3月予想の割合が17%(前回8%)、4月が73%(同61%)と、4月までの予想が90%(同88%)に達した。ただし、前回調査では1月予想が19%あったため、債券市場参加者の見方はこの1カ月であまり変化していないようだ。短期金利の政策目標の予想にも大きな変化は見られていない。今年の経済成長率見通しはユーロ圏よりも高めで、物価上昇率も2%を上回る予想となっており、極端な金融緩和の終了を正当化できる環境が見込まれていると言えよう。気になるのは、2025年の物価見通しが2%を下回っている点だ。日銀の展望レポート同様、2年後の景気・物価見通しがペースダウンしている。しかし、短期的な景気循環への対応と構造問題への対応を分離し、処方箋を変えるべき時に来ているというのは言い過ぎだろうか。
【三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子】
調査は1月23~25日にかけて実施し、債券市場関係者121人が回答した。
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