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「オルカン」とは何か 話題の投資信託、信託報酬の低さが魅力 S&P500との違いは(資産形成イロハのイ)

資産形成イロハのイ オルカン

【QUICK Money World 辰巳 華世】「オルカン」って知ってますか?新NISA(少額投資非課税制度)がスタートして、個人の資産運用が盛り上がっています。この新NISAを活用した分散投資において、ネットや報道で話題となっているのが「オルカン」と呼ばれる投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。今回はそんなオルカンについて、なぜ話題なのか、その魅力やほかの商品との違いなどを深掘りして解説します。

オルカンとは何か

オルカンの基本知識

オルカンとは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託のことです。eMAXIS Slimは、「イーマクシス・スリム」と読みます。

オルカンとは、オール・カントリーを短くした表現となっており、文字通り全世界の株式に分散投資できる商品です。ちなみにオルカンは商標登録です。

オルカンは、全世界の株式への分散投資ができると言われています。では、全世界への株式への分散投資ができるとはどういうことでしょうか?具体的に見てみましょう。

オルカンは、全世界株指数MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとして運用しています。ACWIは、先進国23カ国と新興国24カ国の47カ国の大型株と中型株で構成された株価指数です。2900を超える銘柄で構成されています。国・地域別構成比率では先進国が約90%、新興国が約10%です。米国株が約62%、日本株が約5%、イギリス株が約4%(23年9月末時点)となっています。

オルカンはACWIをベンチマークとしているのでACWIとの高い連動制が期待されます。そのためオルカンはACWIの構成銘柄に投資をしています。なので、オルカンを買った投資家は、全世界の株式に分散投資ができることになります

▼オルカンの基準価額と純資産総額

オルカンの基準価額と純資産総額の推移

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の分配金再投資換算基準価額と純資産総額の推移
(QUICK端末よりデータ抜粋)

2024年に新NISAがスタートがスタートし、個人の資産運用が盛り上がっています。積立投資や分散投資を意識した多くの個人投資家がオルカンに投資しています。オルカンへの1月の資金流入額は約3400億円と前月の約3倍に膨らみ、18年10月の設定以来で最も多い流入となっています。

オルカンの運用会社である三菱UFJアセットマネジメントとは

オルカンの運用会社は三菱UFJアセットマネジメントです。三菱UFJアセットマネジメントの前身の一つは、1959年創業の日本で最初の投信会社です。その後、10社以上の運用会社が集まり23年10月に三菱UFJアセットマネジメントとなりました。三菱UFJアセットマネジメントの委託会社が運用する投資信託の純資産総額は、23年11月末時点で30兆円を超えています。オルカンは同社が運用しているインデックスファンドの「eMXIS Slim」シリーズの一つです。

 

オルカンが注目される理由

オルカンが注目される理由について見てみましょう。1つ目は先程紹介した様に、オルカンに投資すれば全世界の株式へ分散投資できる点です。2つ目は、手数料などコストが安い点です。オルカンのコストについて見てみましょう。

コスト(信託報酬、販売手数料)について

オルカンのコストは他の投資信託に比べると低い設定となっています。オルカンは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMXIS Slim」シリーズの一つです。このシリーズは、業界最低水準の運用コストを将来に渡って目指し続けるファンドです。

具体的なコストを見てみましょう。オルカンでは、購入時に手数料はかかりません信託報酬としては、日々の純資産額に対して年率0.05775%以内をかけた額となっています。また、受益者還元型信託報酬という仕組みを採用しており、このファンドの純資産総額が増えれば増えるほと、運用にかかるコストが安くなります。純資産総額が5000億円未満の部分は、0.05775%、5000億円以上1兆円未満は0.05764%、1兆円以上の部分は0.05753%となっています。

資産運用は長期間かけてやるものです。長期間の積立投資においてコストは意識すべき大切な点です。運用利回りが同じ投資信託ならより低いコストの投資信託の方がパフォーマンスが優位になります。そういった点からもオルカンは人気を集めています。

オルカンのトータルリターン

投資信託がどれくらい儲かっているのか?を見るのに「トータルリターン」という考え方があります。トータルリターンとは、分配金や値上がり益、ファンドにかかったコストなども含めて一定期間にどれだけ値上がり・値下がりしたかを示したものです。トータルリターンが高いほど値上がっていることになります。

一般的に投資信託のトータルリターンは、3カ月、1年、3年、5年、10年などいくつかの期間で表示されています。例えば3カ月、1年を見たら良い結果だが、3年、5年はあまり良くないなど同じファンドでも期間によって結果はさまざまです。これはその時々の相場環境の影響を受けるからです。短い期間ほど相場の影響を受けやすい傾向があります。なので、トータルリターンを見る時は、一つの期間だけでなく、全体的に期間をみていくことが大切です。

では、オルカンのトータルリターンを見てみましょう。24年1月末時点で、3カ月15.1%、1年32.14%、3年68.03% 5年124.03%となっています。

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ほかの指数との違い

S&P500との違いは

S&P500とオルカンの違いを見てみましょう。まずS&P500について簡単に説明します。

S&P500種株価指数(エスアンドピーファイブハンドレッド)は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出したアメリカの代表的な株価指数です。評価通貨は米ドルです。ニューヨーク証券取引所、NASDAQに上場している代表的な約500銘柄より算出される時価総額加重平均株価指数です。採用銘柄数が約500と多く、米国の主要銘柄の多くがS&P500に含まれています。米国株式市場の時価総額の約80%を網羅しているので、米国相場全体の動向を知るうえで役立つ指標です。

説明したようにS&P500は指数なので、指数であるS&P500に直接投資をすることはできません。S&P500の値動きに連動して同じ様なリターンを得ることができる投資信託やETF(上場投資信託)に投資することになります。

オルカンと同じeMAXSIS Slimシリーズに「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」があります。こちらも新NISA開始で人気を集め、1月の国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF=を除く)への資金流入額はオルカンに次いで2位となりました。

では、オルカンとS&P500の違いは何か。簡単に言えば、投資対象が「全世界株型」か「米国株型」かの違いです。オルカンは投資対象が世界中の株式なのに対し、S&P500はS&P500 に採用された米国の503の銘柄が投資対象です。もちろんオルカンは世界中の株式が対象なので、オルカンの中には米国株も含まれています。

やってはいけない?組み合わせに注意

オルカンとS&P500は、「全世界株型」か「米国株型」の違いです。ご紹介した様にeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)もオルカンと並んで人気商品となっています。ひょっとしたらどちらも買っている投資家も多いかもしれません。

ただ、もし両方を購入している場合、意識したい点があります。オルカンとS&P500はまったく違う商品であり資産配分的に問題ないと思っている人がいたら注意です。冒頭に説明したように、オルカンのベンチマークであるACWIの国・地域別構成比率を見ると約6割は米国株となっています。

オルカンとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の両方を買うことで、自分の資産配分の中で米国株の比率が思った以上に高くなっている可能性があります。自分の資産の中であまりに米国株比率が高いとなれば一部見直しをするということも必要かもしれません。

 

まとめ

オルカンは、全世界の株式に分散投資ができる投資信託です。また、信託報酬などのコストも低く、長期資産運用にむいている商品設計となっています。ただ、オルカン=オール・カントリーと言いつつも内訳を詳しく見てみると約60%は米国株となっていることも知っておくべきポイントです。資産運用は、長期・分散・積立を意識することが大切です。オルカンを買っておけば分散投資が完全になるわけではなく、例えば日本株や債券など安全資産を組み込むなどいろいろな選択肢を組み合わせていくことが大切になります。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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