日銀が追加利上げをする時期を巡って、市場参加者の意見が割れている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した4月の月次調査<外為>では「年内は動かない」が最多の29%だった一方、7~10月の実施も計57%に上った。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期も見方が揺れている。
東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹氏は「日銀による年内の追加利上げは難しい」とみる。「実質賃金の減少が23カ月連続で続く中、賃金と物価の好循環に確信が持てる状況には相当な時間がかかる」と分析した。
一方、日銀が年内に追加利上げをする場合は7~10月との見方が大勢だ。「4月」と「6月」は合わせて8%にとどまった。「12月」とみる人も6%と限定的だった。
住友商事グローバルリサーチの鈴木将之氏は「物価上昇に加速がみられず、早急に利上げが必要な状況ではない」と指摘。さらに「日銀はマイナス金利解除の影響を見極めたいはずだ」と強調し、追加利上げは7月以降になるとの見方を示した。
円相場が一時1ドル=153円台を付けるなど足元の円安進行や原油高を踏まえ、農林中金総合研究所の南武志氏は「日本の物価も欧米同様に下げ渋る展開が予想される」と早期の追加利上げも意識しておくべきだと指摘した。
FRBが利下げを開始する時期も、市場の見方が交錯した。利下げ時期は「6月」が34%、「9月」が31%と拮抗した。直近の「5月」は0%と見送りで一致した。年末時点での政策金利は、2回の利下げを指す「4.75~5.00%」が41%で最も多かった。1回の「5.00~5.25%」は25%、3回の「4.50~4.75%」は22%だった。「利下げなし」は3%にとどまった。
鈴木氏は「米国は物価上昇率が高止まりし、3月の米雇用統計も堅調だったのを踏まえると、利下げを何回もするのは考えづらい」と指摘した。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ時期は「6月」が71%と最多だった。ただ年末時点での政策金利は3回の利下げを指す「3.25%」が35%、2回の「3.50%」が32%と割れた。「利下げなし」は3%だった。
調査は4月8~10日に実施し、金融機関や事業会社の外為市場関係者71人が回答した。
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