ゴールデンウィーク前半の4月29日に、円は一時160円台と34年ぶりの円安水準をつけた。政府・日銀による円買いの為替介入とみられる動きがあり、その後ドル円相場は1ドル=154~155円程度の水準で推移している。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した5月の月次調査<外為>では、6月末までの円相場について「1ドル=150~160円程度で推移する」が8割近くにのぼった。
今回の為替介入については「必要だったと思う」との回答が83%を占めた。「過度かつ急激な円安に対する歯止めが必要だった」「介入姿勢が口先だけでないことを示す意味で重要だった」などの意見が多かった一方で、「円安回避には日銀の金融政策の正常化を進めるべき」「日本経済のデフレ脱却には円安が必要」などの声もあった。
介入のタイミングとしては、「適切だった」が49%、「遅すぎた」が50%と評価が分かれた。8兆~9兆円と推計される介入規模については、「適切だった」が81%を占め、おおむね今回の為替介入を肯定的に評価する市場参加者が多いようだ。
次の介入水準については、「1ドル=155円以上~160円未満」が35%、「160円以上~165円未満」が34%だった。マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏は、「今回は1ドル=160円になる前に介入したとみられるため、次があるとすれば同水準での介入が予想される」とした。「水準は関係ない」との回答も19%あった。
今回の介入を受けて相場観や売買行動に変化が生じたか聞いたところ、「生じなかった」が88%を占めた。回答者の多くは、長期的な円安基調は変わらないと見ている。深谷氏は「円安基調に歯止めがかかるには、欧州を先頭に米国でも利下げが始まること、日銀の量的引き締め姿勢がもう一段強まることが必要」との見方だ。介入そのものについて「効果は一時的」「想定の範囲内」などの意見も複数みられた。「きっかけ次第で円高に転換する」との見方もあった。
一方、変化が「生じた」は1割ほどにとどまったが、「160円近辺を当面の円安水準として考えるようになった」などドル円水準を想定しやすくなったとの意見が挙がった。
6月末までの円相場について「1ドル=150~160円程度で推移する」が78%を占める一方で、「150円を上回る円高方向に向かう」と「160円を下回る円安方向に向かう」はそれぞれ1割ほどと意見が分かれた。
調査は13~15日に実施、金融機関や事業会社の外為市場関係者78人が回答した。
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