SBIアートオークションのオンラインによる現代アートのオークションが、4月12日(金)・13日(土)の2日間に渡って開催された。20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、国内外の作家による420点の作品が競りにかけられた。2日間の出来高は、落札総額4億681万8250円(落札手数料含む・以下同)、落札率94.8%を記録し、盛況なセールとなった。
ロッカクアヤコは価格が安定
1日目は、マルチプル作品を中心に、落札予想価格平均12~20万円程度の作品が230点競りにかけられた。絵画作品だけでなく立体作品やグッズ、少額で買える作品も多く取り揃えられ、初心者も気軽にオークションに参加できるような作品構成だった。単日の落札総額は、5221万円、落札率は97.4%と高記録を達成している。セール後半に出品された村上隆の作品(LOT.194)が、この日のトップロットを飾った。ドラえもんと村上の代表的なお花のモチーフが描かれたマルチプル作品11点をまとめた出品で、落札予想価格60~90万円のところ、149万5000円で落札されている。村上は、12日だけでも42点(うち、1点は共作)の出品があった。単日の村上だけの落札総額は、1641万500円に達し、単日総額の31.4%を占めている。
2日目は、オリジナル作品を中心に落札予想価格平均85~150万円程度の作品が190点出品された。単日の落札総額は、3億5460万8250円、落札率は91.6%を記録した。草間彌生、ロッカクアヤコ、小松美和など、市場で常に活発に取引されている作家の作品が順当に高額で落札された。その中でもオークション出品の都度、競り上がりが目立つロッカクアヤコの作品は3点全てが落札予想価格内~上限程度での落札となった。大幅な伸びが鈍化し、価格が安定してきているようだ。
同日、大幅な伸びを見せたのは、セール終盤に出品された成田克彦のLOT.411《静物E之図》(60.0×60.0㎝、ミクストメディア、パネルにマウントしたキャンバス)。成田は、「もの派」の代表的作家のひとりとして知られている。作品がオークションに出品されることは珍しく、注目を集めた。落札予想価格10~15万円のところ、落札予想価格上限の3.7倍となる55万2000円で落札された。
新進アーティストLYが伸び悩む
今回は、東京を拠点に活動するペインターLY(りー、1974‐)に焦点を当てる。幼少期からアートスクールで絵画を学び、10代の頃にはストリートアートへの興味を深め、ペインターとして作品制作を開始している。海外で訪れた街並みや妄想の中の風景に、大きな瞳で真っ黒な人型キャラクターをモノクロ調で描いた作風で知られ、その独自の世界観で多くのファンを魅了している。
本セールでは、1日目にマルチプル作品2点、2日目に円型のオリジナル作品2点、合計4点の作品が出品された。オリジナル作品1点は不落札、他3点は落札予想価格下限~落札予想価格内での落札となっている。その中でも、一番高額落札となったLOT.320《作品》(Φ53.0㎝、アクリル・キャンバス)と近似サイズ・同技法の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向をみる。
2020年は、落札予想価格平均50~80万円のところ、落札予想価格を大幅に上回る210万円程度で落札されている。2021年ほぼ横ばい推移の後、2022年には、落札予想価格平均250~350万円、落札価格平均390万円程度と大幅に上昇をみせるが、それを境に下降に転じる。2023年以降、落札予想価格平均は120~180万円と設定され、落札価格は予想価格内で収まっている。今回の出品作品LOT.320《作品》も149万5000円と、落札予想価格内での落札となった。
近年、新進アーティストとして初出品時から高騰を見せる作家も多いが、一定期間を過ぎて大きく下降に転じるという動向も少なくない。 LYの市場価格が安定していくのか、今後の復調が期待される。
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※次回のSBIアートオークション開催予定は7月6日、7日
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