1日に発表された6月のQUICK月次調査<債券>では、引き続き日米の金融政策の見通しについて質問している。
この数カ月、市場の予測がどう変化しているかを確認するために、あえて同じ質問を繰り返している。まず、FEDの政策金利の変更のタイミングについて尋ねた質問に対し、利下げ開始時期は前月調査と変わらず9月と答えた人が最も多かったが、2024年末の政策金利水準予想の中央値が5.12%から5.25%に上昇しているのは最近のFEDのコミュニケーションの影響であり、メッセージが上手く浸透しているともいえる。一方、日本の政策金利の予想を見ると、7月は国債買入れ額の具体的な減額目標が示されると予想されるため、政策金利の引き上げ時期の最多予想は先月の7月から10月に移った。また6月の金融政策決定会合で国債買入れの減額方針が示されたこと自体は、概ね好意的に受け止められたようである。
今回、中長期的な政策金利のイメージを掴むために、向こう5年の日銀の政策金利のピークを尋ねてみたが、最頻値、中央値ともに1.0%であった。毎月【問7】で尋ねている今後2年間および10年間のCPIコア変化率予想の中央値がこの数カ月安定して2.0%、1.5%であることを併せて考えると、今後5年間の実質金利はマイナスのままという予想が内包されており、日本経済の低成長はまだまだ続くと見込まれているようだ。
■向こう5年の日銀の政策金利のピークとCPIコア変化率予想
最後に、7月7日に投開票が行われる東京都知事選挙の結果予想を尋ねたところ、世論調査で示されている支持率以上の大差で小池百合子現都知事を予想する人が多かったことに、支持率と当選確率予想は別のものとわかってはいても、やや驚いた。一方で若年層の支持が多いと目されている石丸伸二前安芸高田市長を予想する人も意外に多く、横浜市民であるが故にちょっと面白そうな選挙に参加する権利を持っていないことを残念に感じてしまった。
【アムンディ・ジャパン CIO/運用本部長 兼 債券運用部長 有江慎一郎】
このコメントは筆者の個人的見解であり、アムンディ・ジャパン株式会社を代表したものではありません。
調査は6月25〜27日にかけて実施し、債券市場関係者124人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ