バイデン米大統領が21日、2024年大統領選からの撤退を表明。メディア各社が速報、TVネットワークは特別番組を編成した。撤退を求める圧力が強まっていたものの、日曜日午後の撤退発表はサプライズだった。代替候補としてハリス副大統領への支持を表明。8月19~22日のシカゴでの民主党全国大会に向けた手続き、特にハリス氏の「ランニングメイト(伴走者)」となる副大統領候補が当面の焦点になる。ABCニュースは、ノースカロライナ州のクーバー知事とケンタッキー州のビシア知事がトップ候補と報じた。CBSニュースは、ペンシルベニア州のシャピロ知事の可能性もあると伝えた。
予想市場Playmarketが示唆する21日午後時点のバイデン氏勝利確率はゼロ。ハリス氏はバイデン氏撤退発表前の20%から31%に急上昇したものの、トランプ前大統領は64%と大きくリードしている。民主党全国大会までの4週間。民主党とハリス氏をめぐる報道が大幅に増えそうだ。過去4週間は、大統領候補討論会と暗殺未遂事件をめぐる報道ばかりだった。報道が世論に影響する可能性もあるが、トランプ氏優勢を変えるのは容易ではない。
金融市場は6月末の討論会以降、「トランプ・トレード」に乗り出した。長期金利は上昇、株式市場でトランプ関連銘柄が物色され、暗号資産(仮想通貨)が買われた。共和党が発表した政策綱領「2024プラットフォーム」はアメリカ第一主義を強調。ドルの基軸通貨の維持や暗号資産促進も公約に掲げた。インフレ収束を公約したが、インフレ率は上振れする恐れがあるとの指摘は多い。
白人労働者の貧しい家庭で育った自身を描いたベストセラー本「ヒルビリー・エレジー」で知られ、シリコンバレーのベンチャーキャピタルでの勤務経験があるバンス上院議員の副大統領候補指名も注目を集めた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、バンス氏の指名は、トランプ2.0でテクノロジー企業の幹部がウォール街より影響力を持つことを意味すると解説した。
7月半ばの共和党全国大会のトランプ氏登場前。プロレス界のレジェンドであるハルク・ホーガンやメタル・ヒップホップ歌手のキッド・ロックが会場を盛り上げた。ブルームバーグ通信は、政治的リスクをはらむ賭けだが、民主党献金者の一部は、民主党全国大会に人気歌手テイラー・スウィフトら著名人が候補者を紹介する電撃的な作戦を練っていると伝えた。2020年大統領選の投票日前日にスウィフトさんはバイデン氏支持を表明しており、実現すれば状況を変えるかもしれない。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。