民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領との争いが確実になった11月の米大統領選。選挙まで100日となった28日時点でトランプ氏は依然優勢だが、ハリス氏が急速に追い上げた。支持率の差をほぼ消した。米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた世論調査平均のトランプ氏のリードはわずか1.7ポイント。ハリス陣営は、1週間で2億ドル(約308億円)の献金を集めたと発表。献金の額は支持者の人気度を反映するとされる。バイデン氏の撤退でトランプ氏の復権阻止を目指す民主党の勢いは加速した。
生活費高騰や移民問題などで激しい応酬があるが、暗号資産(仮想通貨)の扱いが選挙戦の新たな争点に浮上した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、トランプ氏は仮想通貨を「アメリカ第一主義」のアジェンダに加えたと報じた。ナッシュビルで開かれたイベント「ビットコイン2024」で27日に基調講演。「仮想通貨は未来」と指摘した上で「戦略的国家ビットコイン備蓄を創設する」と述べたとしている。ワシントン・ポスト紙は、かつて仮想通貨に懐疑的だったトランプ氏が方針を180度転換、「ビットコインを再びグレートにする」と宣言したと伝えた。米ニュースサイト「アクシオス」は、トランプ氏が証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長を大統領就任初日に解任すると述べたことを見出しにした。イベント会場は大歓声だったとしている。
ゲンスラーSEC委員長やウォーレン上院議員をはじめ民主党は仮想通貨に批判的とされる。米国を代表するベンチャー投資家のアンドリーセン氏とホロウィッツ氏は今月、新たな税や規制が仮想通貨業界の悪影響になるとして、民主党支持から共和党のトランプ氏支援に転じた。フィナンシャル・タイムズ紙は、ハリス陣営が、バイデン政権を批判する仮想通貨業界との関係の「リセット」を試みたと報じた。米国最大の仮想通貨交換所コインベースやブロックチェーン決済のリップルを含む仮想通貨会社に接触、関係修復を目指しているとしている。
ビットコインの現物ETF(上場投資信託)に個人投資家の資金が大量流入した。大口の機関投資家が積極投資する資金流入第2弾が本格化するとの期待が市場にある。ウィスコンシン州の公的年金は試験的にビットコインETFを購入。ニュージャージー州ジャージーシティーのフロップ市長は25日、市の公的年金がビットコインETF購入手続きを始めたとSNS(交流サイト)に投稿した。仮想通貨市場で2番目に時価総額が大きいイーサリアムの現物ETFの取引もスタート。資産運用大手の米ブラックロックは仮想通貨投資をめぐり機関投資家と積極的に接触していると伝えられた。
米国で仮想通貨は主要な金融資産の1つになった。ハリス氏の仮想通貨に関する考えは現時点で不明。テレグラムをはじめSNSでハリス氏の仮想通貨政策をめぐる賛否両論が沸騰。業界だけではなく、幅広い投資家が大統領選における仮想通貨をめぐる議論を注視している。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。