QUICK Money World(マネーワールド)

個人投資の未来を共創する
QUICKの金融情報プラットフォーム

ホーム 記事・ニュース データセンターへの投資がなぜ注目されているのか? その理由と関連銘柄を解説!

データセンターへの投資がなぜ注目されているのか? その理由と関連銘柄を解説!

【QUICK Money World 辰巳 華世】データセンターが注目を集めています。対話型AI(人工知能)、「Chat(チャット)GPT」の普及など、私たちの暮らしに身近になったAI。実はこのAIとデータセンターは密接な関係にあります。AIの普及にはデータセンターが必須であり、データセンターの重要性が増しています。最近では国内外の企業から日本へのデータセンター投資の発表が相次いでいます。今回は、なぜ今、データセンター投資が熱いのかというデータセンターの基本から、日本にデータセンターを開設する理由や株式投資に役立つ関連テーマや銘柄について紹介します。

本編に入る前にそもそもデータセンターが何かについて簡単にふれておきます。データセンターは、大型のサーバーや通信装置を多数設置するデータ処理の専用施設です。この施設はIT(情報通信)の管理と運用に特化しています。企業のデータ保管やAIの開発など幅広い用途に使われています。企業が自社内でサーバーなどを管理する場合、物理的なスペースの問題やセキュリティーの課題などがあるので、データセンターを活用する傾向があります。

なぜ世界中の企業がデータセンターに投資をするのか?

きっかけは「生成AI」の登場

データセンター投資が注目を集めています。生成AIの普及にデータセンターが欠かせないことが理由です。生成AIが一大ブームになったきっかけは、チャットGPTの登場です。チャットGPTは、2022年11月に米Open AI社(オープンAI)が公開した対話型生成AIです。チャットGPTは、質問に応じて適切な回答を生成してくれるとても便利なツールで、世界中に爆発的に広がりました。

チャットGPTの登場以来、AI市場が活発化しています。米マイクロソフトはオープンAI社に巨額の出資しタッグを組みました。一方で、グーグルを傘下に持つアルファベットや旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズアマゾン・ドット・コムなど米国を代表する巨大テック企業も相次いでAI市場に参戦し、生成AIは世界的な一大ムーブメントになっています。

<関連記事>

生成AIの普及にはデータセンターが必要

生成AIの普及とデータセンターはセットです。その理由はちょっと想像してみれば納得できます。人間の言葉を理解し、質問に対して適切な回答をしてくれるチャットGPT。使うわたしたちにとっては、とても簡単で便利なツールです。一つ質問すれば、適切と思われる回答をすぐに提示してくれます。私たちは回答をただ待てば良いだけですが、回答を生成するチャットGPTの裏側では、膨大な情報を高速で処理しています。

例えば「東京のおすすめ観光スポットを教えて」など簡単な質問だけでなく、企業がビジネスで使う様なレベルのデータ処理など生成AIは様々な環境で使われています。

生成AIは開発段階でも膨大なデータ学習が必須であり、常に情報をアップデートしていく必要もあります。文章だけでなく画像や映像などを生成するには大規模な計算能力が欠かせません。膨大な情報を高速処理するには、大規模なデータセンターを活用するケースが多いです。生成AIの急速な普及に伴い、世界中でデータセンターの新規開発が相次いでいます。

 

DX推進もデータセンターの需要増に貢献

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進もデータセンターが必要となります。DXとは、DX(Digital Transformation)の略称で、データやAI(人口知能)、高速インターネットやIT(情報技術)などのデジタル化技術によって、ビジネスや生活の質、社会などに変化を起こすことです。

企業のDX化で言えば、例えば、アプリなどツールを活用することでビジネススタイルそのものをデジタル化したり、紙で管理していた経費や出勤簿などのデジタル化、テレワークによるネットワークやセキュリティ、クラウドストレージによるデータの共有など様々なものがあります。社内業務のデジタル化だけでなく、DX化を活用したサービスなどを提供する企業もあります。

企業のDX化にデータセンターは欠かせません。ビジネスをDX化するということは、安定したネットワーク環境やサーバー管理やセキュリティの向上、また災害に対してリスク軽減も必須になります。そのため、企業にとってデータセンターの活用が重要になっています。

<関連記事>

日本にデータセンターを開設するメリットとは?

世界中でデータセンターの投資が増えていますが、日本でのデータセンター投資も活発です。2024年に入り、米アマゾン・ドット・コムが子会社を通じて展開するクラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトやオラクルなど世界的なIT企業が日本へのデータセンター投資を相次いで発表しています。投資規模は数千億円から1兆円を超える大規模投資となっています。

AWSは、日本への2兆2600億円の投資計画を発表しました。 27年までに国内クラウドインフラに継続投資をする予定です。マイクロソフトは、国内のAI やクラウド基盤増強に4400億円を投資、オラクルは日本のクラウド・コンピューティングとAIに80億ドル超を投資することを発表しています。

外国企業だけでなく、国内企業のデータセンター投資も相次いでいます。データセクション(3905)シャープ(6753)KDDI(9433)、米スーパー・マイクロ・コンピューターの4社は、AIデータセンター構築に向けて協議を始めています。シャープが今秋に稼働を停止する堺市のテレビ向けパネル工場の跡地を活用する方向です。ソフトバンク(9434)は、北海道の苫小牧市に高いデータ処理能力を有するデータセンターを建設すると発表しています。

日本でのデータセンター投資が注目される理由について見てみましょう。

日本が注目される理由:中国回避先としての魅力

経済安全保障の観点から注目されていると言われています。これまでアジアの首位は北京でしたが、生成AIの急速な普及からデータセンターへの高まる需要が、経済安全保障の観点から中国を避ける流れもあり、日本に集まっているとの見方があります。

日本が注目される理由:円安

歴史的な円安水準であることも影響しています。投資先として他国と比較した場合、円安が進む日本はコスト面で有利になります。

<関連記事>

地方にデータセンターを作る動きも

日本へのデータセンター投資では、東京など首都圏近辺だけでなく、地方にデータセンターを作る流れがあります。大量のデータを高速に処理する大規模なデータセンターでは、大量の電力を消費します。SDGs(持続可能な開発目標)達成の観点から、再生可能エネルギーを利用し、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えながら、データセンター需要に対応できるよう工夫している流れがあり、再エネを調達しやすい九州や北海道への投資が目立ちます。

ソフトバンクが北海道の苫小牧市データセンターを開設、さくらインターネット(3778)が北海道の石狩市にデータセンターを開設しています。石狩市のデータセンターでは、東急不動産ホールディングス(3289)が石狩市と連携してデータセンター向けに再生エネを供給することを発表しました。また、グーグルは日本国内で再生可能エネルギーを本格的に調達し、データセンターで活用できる再生エネ供給網の整備を進めています。

この他にも、QUICK Money Worldは金融市場の関係者が読んでいるニュースが充実。マーケット情報はもちろん、金融政策、経済情報を幅広く掲載しています。会員登録して、プロが見ているニュースをあなたも!メールアドレスの登録だけでなく、Googleアカウント・Apple ID等でも登録できます。人気記事を紹介するメールマガジンや会員限定オンラインセミナーなど、無料会員の特典について詳しくはこちら ⇒ 無料で受けられる会員限定特典とは

読める記事がもっと充実!無料会員登録バナー

データセンター関連テーマや関連銘柄

ここでは、データセンター関連テーマや関連銘柄について見てみましょう。

1 電気・通信設備

データセンターでは、大量のデータを高速に処理するため、大量の電力を消費します。データセンターが増えれば、それだけ電気・通信設備も必要になります。

具体的な銘柄では、東京電力ホールディングス(9501)の関連会社で、原子力や火力、再生エネ向けなど幅広い電力設備の工事や整備を手掛ける東京エネシス(1945)、災害時などにおけるBCP(事業継続計画)対策の電源供給システムを提供するきんでん(1944)、データセンターの空調や衛生設備工事を担うダイダン(1980)などがあります。

この他、データセンター関連で用いるシステムや機器の開発、電力や通信設備工事などに取り組む関電工(1942)やデータセンターのセキュリティ対策や空調、衛生設備工事を担うNECネッツエスアイ(1973)があります。

データセンターに導入されるサーバーは発熱量も大きいことから、電力使用量を抑制するため効率的に「冷却」することが求められます。冷却設備はもとより、熱を冷ます部材、冷却させる液体、冷却水の循環装置など、関連する材料や装置・技術に関心が高まっています。総合モーターメーカーのニデック(6594)は、生成AIサーバー向けの冷却装置の売り上げ伸長が期待材料となっています。

2.電力・電線

データセンターでは、大量に電力を消費するため、電線や送電・電力会社の需要が高まると見られ注目されています。電線や送電分野では、御三家と呼ばれる古河電機工業(5801)住友電気工業(5802)フジクラ(5803)があります。電力では、データセンターの建設が地方で相次いでいることもあり、九州電力(9508)北海道電力(9509)などが注目されています。

 

3.再生エネルギー

データセンターは大量の電力を必要とするので、SDGs達成の観点から、再生可能エネルギーを利用する流れがあります。一方で、日本の再生エネの普及は道半ばであり課題も多いのが現状です。今後もデータセンターの需要は高いことが想定され、企業による再生エネへの設備投資が一層進むと考えられます。

具体的な再生エネ関連の銘柄では、太陽光発電などの再生エネ発電施設を開発するレノバ(9519)や、ウエストホールディングス(1407)などがあります。バイオマス発電ではエフオン(9514)イーレックス(9517)タケエイ(2151)、風力発電では日立製作所(6501)JFEホールディングス(5411)日立造船(7004)※社名を24年10月1日にカナデビアに変更、などがあります。省エネのコンサルティングなどではグリムス(3150)があります。地熱発電では、富士電機(6504)三菱重工業(7011)などです。

<関連記事>

まとめ

生成AIの急速な普及に伴い、データセンター投資が加速しています。日本でデータセンター建設が相次いでいます。国内でのデータセンター建設は首都圏だけでなく、地方でも建設が続いています。データセンターは大量の電力を使用することもあり、再生エネを活用した取り組みが意識されています。引き続き高い需要が見込まれるデータセンターについて注目してみましょう。

「QUICK Money World」の有料会員になると、プロのマーケット予想や企業分析など全ての記事が読み放題となるほか、企業の開示情報やプレスリリースをメールで受け取れます。提供情報をもとにマーケット予想や企業分析まで行いたい方にピッタリです。マーケット予想から企業分析まで最大限活用したい方は、有料会員登録をご検討ください。メールアドレスの登録だけでなく、Googleアカウント・Apple ID等でも登録できます。詳しくはこちら ⇒ 有料会員限定特典とは

男性有料会員登録バナー

著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


ニュース

ニュースがありません。

銘柄名・銘柄コード・キーワードから探す

株式ランキング

コード/銘柄名 株価/前日比率
1
23,740
+6.74%
2
41,770
-0.26%
3
1,717
-2.99%
4
16,585
-2%
5
4,646
+5.2%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
167
+42.73%
2
440
+22.22%
3
3,405
+17.21%
4
1,022
+17.2%
5
1,054
+16.59%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
1,699
-22.73%
2
9399
ビート
2,730
-20.4%
3
1,342
-16.33%
4
1,216
-15.14%
5
5527
propetec
974
-13.88%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
41,770
-0.26%
2
23,740
+6.74%
3
16,585
-2%
4
8,210
-3.47%
5
26,080
+1.32%
対象のクリップが削除または非公開になりました
閉じる
エラーが発生しました。お手数ですが、時間をおいて再度クリックをお願いします。
閉じる