今週の9月17~18日に米連邦公開市場委員会、いわゆるFOMCが開催される。米国の金融政策を決定するこの会合は、米国景気の先行き、ひいては世界経済にも影響する重大なイベントだ。今回は利下げの決定がほぼ確実視されるなか、市場の関心はその引き下げ幅に集まっている。この記事では、QUICK Money Worldの関連記事を中心にFOMCのスケジュールや市場の予想などを解説する。
(3:43更新)FOMCの結果が発表、通常の2倍となる0.5%の大幅利下げに決定とのこと。 |
FOMCとは?
Federal Open Market Committeeの略称で和訳は米国連邦公開市場委員会。米国の中央銀行ともいうべき米連邦準備理事会(FRB)が開く会合で、米国の金融政策やフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を決定する最高意思決定機関だ。 メンバーはFRBの理事や地区ごとの連邦準備銀行総裁で構成される。声明文はFOMCの最終日に、議事要旨は政策決定日(FOMC開催最終日)の3週間後に公表される。米国の金融政策は日本を含む世界の金融市場や経済動向にも影響するため、市場関係者の関心が非常に高い。
9月のFOMCは日本時間の、いつ開催される?
FOMCはアメリカ東部時間の9月17~18日に開催される。結果発表は18日午後2時(日本時間19日午前3時)で、その後、パウエル議長の会見が予定されている。
注目の利下げ幅の事前予想は?
9月のFOMCでは政策金利の引き下げが確実視されている一方、利下げ幅は不透明感がある。政策金利の変更幅は通常0.25%だが、0.5%の大幅利下げを決めるとの予想が広がっている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げ幅を巡る金融市場の予想は、開催直前になって0.5%の大幅利下げの確率が6割強まで上昇し、通常幅である0.25%を上回ってきた。
4年半ぶりの利下げを決める公算が大きいが、市場では利下げ幅が通常の2倍にあたる0.50%になるとの見方がやや優勢だ。FRBの元高官も相次いで大幅利下げへの支持を表明し始めた。
大幅利下げ観測の拡大により、円高ドル安が進行した
FOMC直前の外国為替市場では、大幅利下げ観測が拡大したのをきっかけに円相場が対ドルで上昇。9月16日には一時1ドル=139円台で取引された。
日本が祝日で休場だった9月16日のアジア外国為替市場で円相場が上値を試し、一時1ドル=139円台半ばと1年2カ月ぶりの高値をつけた。著名な米連邦準備理事会(FRB)ウオッチャー、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のニック・ティミラオス記者が12日付で、17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%利下げがなおも視野に入っている可能性を示したのが尾を引いている。
円高進行を受けて、翌営業日9月17日の株式市場では、トヨタ自動車(7203)など輸出関連銘柄で軟調な値動きとなった。同社は想定為替レートを1ドル=145円としており、円高リスクが懸念となっている。ドル円相場の値動きとともに、上場銘柄の想定為替レートにも注目が集まりそうだ。
▶全上場企業の想定為替レート一覧(2024年9月13日時点)
FOMC終了後の日本株の見通しは?
FOMCの利下げ幅によらず、日本株はしばらく上値が重い展開が続くとの指摘が挙がった一方で、景気悪化のメッセージにはならないとの意見も見られた。
「少し弱気でみています。注目はFOMCですが、利下げに積極的な『ハト派』だと円高・ドル安、『タカ派』だと米株安になるとみられ、どちらに転んでも日本株が上昇する展開を描きづらいです。(ストラテジスト)」
「FOMCで50bpの利下げとなった場合でも、景気悪化ではなくインフレ鎮静化によるものとしてネガティブなメッセージとはならないだろう。需給環境も配当再投資のほか、個人投資家が買い越し基調であることから悪くはない(外資系証券)」
「サプライズシナリオはFOMCの50bp利下げ、日銀の25bp利上げ」─QUICK Market Eyes「来週の展望」より
0.5%の大幅利下げの懸念が広がる一方、マーケットには0.25%の利下げ予想も残っており、仮に0.25%で決定した場合に揺り戻しが起こるのではとの声も挙がった。
12日は、通常の倍である0.5%の大幅利下げ観測が盛り返し、外国為替市場では円買い・ドル売りが加速した。まだ優勢な0.25%利下げで実際に決着すると、いったん大幅利下げを織り込みつつあるマーケットで揺り戻しが起きるかもしれない。
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