【QUICK Money World 吉野 由希】資産形成をカードゲームで学ぶ「資産形成王」は10月30日、愛媛県の伊方町を訪問しました。同町とQUICK、八西CATV、STNet社が町民の金融リテラシー向上のために締結した連携協定が背景にあり、今回が4回目となります。町立の伊方中学校、瀬戸中学校、三崎中学校で金融教育の特別授業を対面&オンラインのハイブリッド形式で実施し、カードゲームを通して資産形成を楽しみながら学んでもらいました。
資産形成王とは
このゲームのルールはいたってシンプル。各プレイヤーが自分の手番で引く経済に関する「イベントカード」が起こすさまざまな波乱を乗り越えて、10ターンの間に最も多く資産を増やした人が勝者となります。
増やす対象となる資産は「株式」「投資信託」「現金」の3種類。例えば「株価上昇」のカードを引いたら、手元に株券カードを持っていた場合、さらに株券を1枚獲得できます。「バブル崩壊」のカードを引くと手元のカードのうち参加者全員を対象に、株券1枚・投資信託3枚と現金を残して全部没収されるというイベントも発生します。資産形成を孫から祖父母まで一緒に遊んで学ぶをコンセプトにQUICKが開発した金融教育の教材です。
カードゲーム × 金融教育の専門家
伊方中学校では31名の中学3年生が授業に参加してくれました。三崎中学校と瀬戸中学校は合同開催となり、参加者は中学3年生の合計14名でした。生徒さんたちは机に配られた資産形成王に興味津々。ルールをすぐに理解して、生徒さん同士でも「これは全員が対象だから~」と教え合って進めていました。2~3ターンが終わるころには各テーブルで大盛り上がり。「10倍株だ!交換しないで持っておけばよかったー」とタイミングを悔んだり、バブル発生のカードを引いた生徒さんは、株券か投資信託を持っていれば持っている資産が2枚増えるという資産価値上昇の恩恵を受け、「バブルってすごい!」とみんなでハイタッチしていました。ゲームを通して、金融資産に投資し保有することで資産が増減するということを、なんとなく肌感覚で理解をしていってくれました。
直感的に資産形成を知るだけで終わらないのが、QUICKが展開している金融教育の特別授業です。ゲーム終了後には金融教育の専門家であるワイズ・アセット・デザインの山口曜一郎氏による資産形成の入門編の講義が始まりました。株券(株式)とは何か、投資信託とどう違うのか――。なんとなくゲームで耳にした単語の実像が見えてきました。また山口氏は「資産を増やすってどんなこと?」というテーマのもとで複利のパワーや長期投資の重要性を説明しました。資産形成は投機ではないという大切なメッセージです。
講義のあとは2回目のゲームです。金融や資産形成のことをあまり知らないまま臨んだ1回目のゲームと違い、みなさんそれぞれ戦略を立ててプレイしていました。2回目のゲームが終わった後に気付きや感想を聞いてみました。
- 最初は現金と株券、投資信託をバランスよく整えることから始めて、その後は自然に運用を任せた
- 投資信託3枚、株1枚をキープして何か景気ダウンとかが起きても資産が減らないようにした
- 現金だけ持ってても増えなかった
1回目のゲームでは全員が破産してしまったチームが、講義を聴いて2回目には全員が資産家に転身!というところもあったようです。生徒さんたちがゲームを通じて金融や資産形成について直感的に理解した様子が伝わってきました。
6割超が資産形成についてもっと勉強したい
アンケート結果によると、今回の授業について全員の生徒さんが「良かった」「非常に良かった」と感じてくれました。また、資産形成についてもっと勉強したいと思っている生徒さんが6割を超えていることも分かりました。
初めて知ったことについて質問したところ「株」「投資信託」「投資について」の回答が多くありました。将来の資産形成に向けて選択肢は複数あること、金融について学ぶことはそんなに難しくはないことを少しでも認識してもらえたのであれば、今回の授業も成功だったと言えそうです。これからも「資産形成王」を使った特別授業で金融教育・資産形成のリテラシー向上に貢献していきたいと思います。