【QUICK Money World 岩切 清司】資産形成を学ぶカードゲーム「資産形成王」が今回お呼ばれしたのは埼玉県入間郡の三芳町立藤久保中学校でした。2月29日、卒業が間近に迫る3年生(77名)が参加してくれました。コロナ禍で体験型の学習機会が制限されてきた世代。先生たちが失われた機会を少しでも取り戻そうと積極的に企業の出前授業を招聘した一環として資産形成王にもお声がかかりました。
資産形成王とは
このゲームのルールはいたってシンプル。各プレイヤーが自分の手番で引く経済に関する「イベントカード」が起こすさまざまな波乱を乗り越えて、10ターンの間に最も多く資産を増やした人が勝者となります。
増やす対象となる資産は「株式」「投資信託」「現金」の3種類。例えば「株価上昇」のカードを引いたら、手元に株券カードを持っていた場合だとさらに株券を1枚獲得できます。また「バブル崩壊」のカードを引くと手元のカードのうち、参加者全員を対象に、株券を1枚・投資信託を3枚と現金を残して全部没収されるというイベントも発生します。資産形成を孫から祖父母まで一緒に遊んで学ぶをコンセプトにQUICKが開発した金融教育の教材です。
「バランスが難しい」
「現金をいけにえに捧げ株券を召喚!」——。底冷えする体育館に集まった生徒さんたちはゲームを始めると徐々にそのゲーム性を理解し始め笑い声が大きくなっていきました。中には人気カードゲームになぞらえて資産カードの出し入れをしていた生徒さんもいました。
中でも盛り上がったのは株券にまつわるイベントカードでした。「10倍株」を引いて資産が増えた生徒さんがいれば、「日経平均が過去最低」で没収されたりと大きく一喜一憂。「結局、現金が一番いいのかよ・・・」と落胆にも似た感想も漏れていました。
ゲーム終了後に感想などを簡単に聞いてみると、一人の生徒さんが手を挙げてくれ「投資信託をもっていたんですが、『10倍株』を引いた人がいたので株券を集めるようにしました。そうしたら『日経平均が過去最低』を引いてしまい株券のほとんどを持ってかれてしまいました。ほんとに(保有する資産の)バランスが難しいと思いました」と話してくれました。資産形成王を通して直感的に学んでもらいたいことは保有資産のバランスの大切さ。その点が伝わっている様子にこちらが思わず微笑んでしまいました。
また別の生徒さんからは「10倍株を2回連続で引いたんですけど、そのあとにバブル崩壊が出てしまい株券の大半が没収されてしまいました。現金も大切なんだなと思いました」とのコメントがありました。ゲームを通して疑似的な資産の膨張と収縮を直感的に体験してれていたようです。
資産運用に興味を持った
授業後のアンケートで「資産運用に興味を持ちましたか」との設問に対し7割の生徒さんが「今日の授業で興味を持った」と回答。資産運用への興味を「以前から持っている」の回答が2割弱でした。さらに「資産形成についてもっと勉強したいと思いますか」との質問については8割が「思う」を占めました。
資産形成王を使った特別授業を生徒さんに実施するたびに思うのが、大人が思っている以上に子供たちは資産運用に関心があるということです。それでも金融用語は難しくどうしていいのかわからないというのが実態でしょうか。このハードルを少しでも下げていくことが金融に携わる大人たちの責務のような気もします。
アンケートの中には以下のコメントもありました。
- 「社会の授業で勉強を行い、とても難しく複雑だと思っていたけれど、カードゲームや講義を行っていただいたので株について詳しく改めて知れました」
- 「どのように株などをバランスよく使えるのかと考えながらやるのが難しかったです」
- 「投資するうえでリスクとリターンのバランスを考えながらしなければならないのが難しかったです」
- 「投資信託を持ちすぎて、株券の数が少なすぎて、10倍株が来たときに とても意味のないことを何回もしてしまった」
「難しい表情していた生徒たちも笑顔に」
今回の特別授業に対する期待はどこにあったのか。同校の田川一義校長は「生徒たちがこれから生きる社会では価値観の多様性がうたわれていますので、自分自身を見つめなおし向き合うことの一助になればいいと思います。生徒たちは金融についてはまだ自分事としてとらえていないと思います。世の中の状況を鑑みて、社会の見通しなどについて興味・関心が持てるようになることを期待しています」としていました。
今回は社会科の大木貴寛先生からお申込みいただきました。特別授業の後、いただいたメールに以下のコメントをいただきました。
3年生の公民の授業のなかで株式や投資信託については一度学習を |
少しでも金融・資産形成への関心を生徒さんが持ってくれたのであれば光栄です!資産形成王は今後も金融リテラシーの向上に貢献していきます!