12月に入ってからも日経平均株価は26年ぶりの高値圏でもみ合いが続いている。年末に向けて一段高となる「掉尾(とうび)の一振」への期待も高まるところ。一方で9月以降、急勾配の上昇相場を演じてきたことから、一部では過熱感を指摘する声が増えているのも確かだ。
日本株は割高なのか、それほどでもないのか。様々な要素が絡むため一概に判断できず、多くの投資家の悩みどころだろうが、バリュエーションを測るうえで一つのものさしになるのがPER(株価収益率)だ。PERとは株価が企業の1株利益(EPS)の何倍に買われているかをあらわし、数値が高くなるほど割高感が増しているとみなされる。株価は投資家の期待が反映されるため、通常は実績ではなく見通しのEPSを使って予想PERをはじく。
足元の日経平均の予想PERをみると15倍程度。東証1部全体でも16倍台に過ぎない。米国(21倍台)と比べてもかなり低く、割高感は相対的に強くないと言えそうだ。Knowledge特設サイトの「日経平均/PERチャート」を使えば、過去のPERや日経平均との比較も簡単にできる。
5年間のチャートをみると、アベノミクスへの期待が高まった2013年前半はPERが20倍を上回る局面があったが、最近は15倍前後で落ち着いている。このトレンドを踏まえれば直近の株高は企業収益の見通しに裏付けられたもので、かつて当時のグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長が懸念したような「根拠なき熱狂」というほどのレベルにはないと言えるだろう。
年が明ければ投資家の関心は次第に来期業績に向かい始める。QUICK企業価値研究所によれば、主要261社の(金融除く)の18年度の純利益は17年度見込みに比べて9.6%増える見通しだ。仮にEPSも10%程度伸びてPERは15倍のままと仮定した場合、「日経平均/PERチャート」のシナリオ計算で試算される日経平均は2万5463円で、一段と上値視界が広がってくる。5%増益でも2万4306円で、11月9日に付けた今年の取引時間中の高値(2万3382円)を超える。
個別株のPERチャートも日経平均と同様に検索可能で、ここではシナリオ計算の「業績」欄に、任意の数字のほか日経予想や東洋経済予想も使える。稼ぐ力に照らした株価の適正水準を見極めるうえで役立ちそうだ。
【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】