QUICKコメントチーム=片平正二
シティグループが15日に2019年4~6月期(2Q)決算を発表し、米決算シーズンの皮切り役となった。
ファクトセットによれば、S&P500種株価指数の採用銘柄で今回の2Q決算シーズンを前に業績見通しを修正したのは113社あり、このうち87社は1株当たり利益(EPS)の見通しを下方修正したという。上方修正したのは26社にとどまり、下方修正した企業数は過去5年の平均(74社)を上回るとのこと。下方修正した企業数としては2016年1~3月期(1Q、92社)以来の多さだったという。米中の貿易戦争が企業業績に悪影響を及ぼしている状況が分かる。セクターでは情報通信、一般消費財、ヘルスケアで下方修正が多かった。
企業業績が悪いにも関わらず、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待で米株高が進んでおり、S&P500指数は15日に3017.80まで上昇して連日で史上最高値を更新した。ファクトセットによれば、アナリストの目標株価から得られるボトムアップの予想に基づくS&P500指数の目標値は7月2日時点で3218.78だったという。世界的な景気減速懸念や米中の貿易戦争懸念が残る割に、市場ではまだ上値余地があるとみられているとのこと。
実際、S&P500ベースの1株当たり利益(EPS)は175ドルほどで、株価収益率(PER)は17.2倍ほどとなっている。史上最高値を更新しているS&P500だが、PERは2018年1月に18倍を超えた頃からは低下基調にある一方、EPSは着実に増加し続けている。米株の強さを支えているのは金融緩和期待だけでなく、バリュエーション面の裏付けもあるだけに、それほど悪くなかったと四半期決算シーズンを乗り切って株高の流れは続きそう。米株独り勝ちの状況が強まる中、日本株はドル安円高基調が続く中でアンダーパフォームする傾向が続きそうだ。
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