米国発の金融・資本市場の動揺が続いている。起点となったのは、2月2日発表の1月の米雇用統計で、賃金の伸び率が市場予想以上に伸びたことだった。市場ではインフレ懸念が台頭。米10年債利回りは12日に2.9%レベルまで上昇し、その後も2.8%台で高止まりしている。
気になるのは米金利の長短スプレッドが拡大傾向にあることだ。将来のインフレを警戒して、ベンチマークの10年債利回りでみた長期金利が上昇する一方、FRBの金融政策の影響を受けやすい2年債利回りの上昇幅は限られている。インフレ進行に対し、FRBの利上げペースが遅れる「ビハインド・ザ・カーブ」を警戒した動きにもみえる。
FRBがインフレを抑えられないとマーケットがみれば、金利上昇は加速するおそれがある。目先の注目点は、日本時間14日午後10時30分に米労働省が発表する1月の米消費者物価指数(CPI)で、インフレ懸念がさらに高まるかどうかだ。
(チャートはQUICK FactSet Workstationより作成)
QUICK FactSet Workstationによれば、CPIの市場予想は前月比+0.3%(前回+0.1%)、コアCPIは+0.2%(同+0.3%)と見込まれている。前月比でモメンタムとしての物価上昇傾向が確認され、前年同月比で前月の+2.1%を上回る強めの数字が出た場合、FRBが「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るとの懸念が広がるおそれがある。米長期金利の上昇が加速し、株式相場のかく乱要因になる可能性もありそうだ。
米消費者物価指数の前年同月比上昇(下落)率 ※米労働省ホームページより
(QUICKデリバティブズコメント)
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