22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比724ドル42セント安の2万3957ドル89セントと、2月8日以来1カ月半ぶりの安値で終えた。トランプ米大統領が22日、中国による知的財産権の侵害を理由に中国製品に高関税を課すと正式発表した。米中の貿易摩擦への警戒感が強まり、投資家心理が悪化した。
米株相場の予想変動率を示し、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は3日ぶりに急反発。30.68%高の23.34と、投資家心理の不安を示すとされる20の大台を上回って終えた。終値で20を上回るのは1日以来。一時は23.81まで上昇し、今月2日以来およそ3週間ぶりの高水準となった。
VIXの急上昇を受け、VIXロングのレバレッジETFである「ProSharesウルトラVIX短期フューチャーETF」が19.82%高と大幅に上昇。売買も膨らんだ。「iPath S&P500VIX短期ETN」も13.15%高で大幅高となった。
一方、高利回りが魅力ながら流動性が低く、ハイリスクな米ハイイールド債(低格付け債)に売りが出た。「iシェアーズ・iBOXX $ ハイイールド社債ETF」は3日ぶりに反落し、0.59%安の85.14ドルで終えた。2月14日以来およそ1カ月ぶりの安値水準。「SPDRバークレイズ・ハイイールド債券ETF」も0.61%安の35.71ドルと3日ぶりに反落した。
米証券業界の自主規制機関である金融取引業規制機構(FINRA)によると、22日時点で52週安値を更新したハイイールド債は335銘柄あるという。発行済みのハイイールド債2273銘柄のうち14.7%を占める。投資適格債でも1333銘柄(同24.1%)が52週安値を更新しているといい、株安の一方で社債を売る動きも強まっている。
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