QUICKがまとめた6日時点のFX大手8社の建玉状況、「QUICK店頭FX建玉統計」で円に対するドルの買い建玉は前の週に比べ7.50%減の48万1683(単位:1万通貨)だった。減少は2週連続で1月下旬以来およそ2か月ぶりの低水準となった。2月上旬に始まったボラティリティ急騰前の水準に戻ったともいえる。
一方でドル売り建玉は同13.29%増の17万6331(同)と2週連続で増えた。こちらは2月上旬以来の高い水準となった。ドル買い建玉の比率は73.2%と前の週から3.8ポイント低下した。この週はドル円が1㌦=107円台まで戻す展開となった。個人は引き続き直近で組み上げた円売り・ドル買いのポジションで利益確定の反対売買を進めたようだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)が6日発表した3日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で投機筋による円の持ち高が、2016年11月22日以来ほぼ1年4カ月ぶりに買い越しに転じた。買い越し幅は3572枚。
内訳を見ると、売り・買いの建玉はともに減少していた。売り残の減少が大きかったため差し引きで買い越しとなった。投機筋はドル円のポジションを全体的に縮小しているとも言えそうだ。
シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは9日付のレポートで「このやや意外なドル円反発」と前置きしたうえで「社内レートを従来の105~110円あたりから100~105円あたりへ引き下げた日本の輸出企業はアンダーヘッジを解消するため、先物ヘッジを増やして対応するのではないか」とした。
加えて「特に107~108円台は売り動意が強まりやすい水準だと思われ、短期的には当面のドル円の反発を遮る需給要因となることが予想される。ただ、そこで輸出企業がヘッジ比率を正常化させ、アンダーヘッジを解消すると、ドル円の荷もたれ感が軽くなり、より中長期的にはドル高円安が進行しやすい需給環境になってくる」との見方も示した。
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