決算発表シーズンがヤマ場を越えた。5月14日までに3月期決算企業の約9割が2018年3月期の通期決算を発表した。市場が関心を寄せる2019年3月期の業績予想は、金融を除く比較可能な1826社の営業利益で1.47%増、純利益は1.37%減と前期比ほぼ横ばいだ。2018年3月期の期初はいずれも前の期に比べ4%程度の増益見通しだった。1年前と比べると収益環境に対する企業の見立ては慎重だ。
QUICKは企業業績の全体の動向を把握するために、決算の実績や会社発表の業績予想を日次で集計するコンテンツツール「決算モニタ(業績集計)」のサービスを提供している。主要な収益項目について決算期や業種ごとに集計値を出しており、さまざまな角度から「ニッポン株式会社」の成績表を分析することができる。5月14日時点の決算モニタによると、18年3月期の営業利益は、金融を除く比較可能な1893社で14.69%増。直前の会社予想を3.31ポイント上回る着地だった。
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一方、19年3月期の見通しについては、3月下旬にかけての円高傾向や原油など商品市況の上昇が影を落とした。各社が業績予想の前提として公表した想定為替レートは、4月以降の集計で1ドル=105円台が268社と最多(下記グラフの緑色の棒グラフが4~6月の発表値)。110円近辺が中心だった10~12月(茶色の棒グラフ)や1~3月(ピンク色の棒グラフ)から円高・ドル安にシフトしている。19年3月期の売上高予想は、同じく金融を除く比較可能なベースで前期比2.77%増。売上高が増えても利益はさほど伸びないという見立てだ。
QUICKがアナリストの業績予想から算出した平均値「QUICKコンセンサス」の集計値と比べると、決算発表が本格化する前の4月24日時点で、19年3月期の売上高は前期比2.55%増(2社以上のアナリストが予想する企業669社)、営業利益予想は8.53%増(625社)、純利益は3.26%増(669社)。市場の期待値は会社側の予想をかなり上回っていたことが分かる。
足元の円相場は109円台と円高傾向は一服しており、株式市場は底堅さを保っている。前年は四半期ごとに企業が業績予想を上方修正し、株式相場の追い風となった。今年も同じ道をたどれるのか、為替など外部環境が市場心理を左右することになりそうだ。
【QUICKナレッジコンテンツグループ】