WTI原油価格と国際商品の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数の乖(かい)離が縮小しつつある。2017年12月末の値を100とした場合、7月3日にWTI原油が122.708と大きく上昇していたのに対し、CRB指数は同時点で101.867と出遅れが鮮明となっていた。3日に20を超えていた乖離幅は9日時点で20を下回ってきた。
CRB指数は国際商品の値動きを示す代表的な指標で、同指数に連動する金融商品も多い。トムソンロイターの資料によると19の商品で構成され、構成比率で大きいのは原油やガスなどを含むエネルギー関連が全体の39%にのぼる。なかでもWTI原油は全体の23%を占める。金や銅、アルミニウムがそれぞれ6%となり、金属全体では20%、その他の多くの農産品などが含まれる。
構成比が最大のWTI原油が大きく上昇した一方、他の国際商品の下げがCRB指数の上値を重くした要因だ。代表的なのは使用用途が広く世界経済の体温計ともいえる銅の下落だ。指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は7月6日時点で昨年末に比べて13%ほど低い水準で推移。米中における関税対象商品ではないものの、自動車や電子部品など幅広い用途に使われ、中国の消費量は全体の4割を超えるとされる。貿易摩擦による世界経済の停滞を過剰な形で先読みしている面がある。
<WTI原油(青)、CRB指数(赤)、LME銅3カ月先物(緑)の相対チャート>
一方、原油価格はカナダのオイルサンドからの供給懸念のほか、米政権が進めるイランへの経済制裁により供給の先細りを懸念する向きを映し出す。マーケットは貿易摩擦のエスカレートを警戒しており、CRB指数やWTI原油、銅の3つの価格動向に変化がでるか関心を集めそうだ。(中山桂一)
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