1日の原油先物相場は、米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で妥結したことを受け、大幅に上昇した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物は一時75.77ドルと2014年11月下旬以来およそ3年10カ月ぶりの高値を付けた。
北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉やイラン制裁による供給懸念から原油相場がラリーする一方、債券市場では貿易紛争懸念が後退したことを受けて株高・債券安の展開だった。米債相場は小幅に続落し、10年債利回りは3.09%まで上昇する場面があった。
この日発表された9月のISM製造業景況感指数は59.8と、約14年ぶりの高さだった前月から1.5ポイント低下したが、景気の拡大・縮小の境目である50を大きく上回り米景気の好調さを示している。今週末に発表される米雇用統計が強い結果になれば、米長期金利は再び上昇余地を試す展開になるかもしれない。
米10年債と米物価連動債(TIPS)が共に売られるなか、約4年ぶりの原油高水準にも関わらず、米10年債の利回りからTIPSの利回りを差し引いたブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が上昇しづらい環境となっている。QUICK FactSet Workstationによれば、1日の米国市場で市場の期待インフレ率を示すBEIは212.84bpsとなり、前日(214.41bps)から1.57bps低下した。(池谷信久、片平正ニ)
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