米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が「中立金利を超える水準まで利上げを進める可能性がある」と発言したことで、4日の米国市場では長期金利が上昇した。様々な金融商品へ影響を及ぼすだけに世界中が注目するが、今後の展開はどうなるのか。BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は毎月、米雇用統計が発表される週に顧客の投資家を中心にアンケートを実施している。定例質問のほか、その時の投資テーマを特別質問として投げかけるが、今回は11月の米中間選挙を取り上げた。
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現在、共和党は上下両院で過半を占めるが、下院で民主党が過半を獲得した場合に「金利が低下する」と回答したのは56%に達した。上昇は12%、わからないとの回答が32%だった。共和党が下院をコントロールできなくなった場合、トランプ米大統領の議会運営が難しくなることが想定され、結果的にこれまでのように積極的な財政運営が難しくなるといった見立てなのかもしれない。
対照的に共和党が過半を維持した場合「金利が上昇する」との回答は57%だった。
もう1つの特別質問は「米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送る時期」についてだった。こちらは19年6月が30%、9月が35%。米市場で見方が分かれている様子が鮮明だ。米景気が力強い拡大基調にあり、米連邦準備理事会(FRB)が予想よりも利上げの回数を積み上げるシナリオが現実味を増す。中期的には来年半ばに向けFRBを巡る思惑が交錯しやすくなると言えそうだ。(岩切清司)
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