一気に「弱気相場」入りした日米の株式市場。パニック的な下げもみられる中で、買いに回っているマネーがある。ETFだ。
24日の米国市場では、米国上場のETFで純資産が最大のS&P500に連動するスパイダーS&P500ETFに大規模な資金が流入した。QUICK FactSet Workstationによれば69億8375万㌦(7713億円)の資金流入となり、同ETFの一日の流入額としては、米長期金利上昇に端を発し、恐怖指数のVIXが急騰したいわゆる「VIXショック」が起きた2月13日(72億4257万㌦)以来、10カ月ぶりの大きさだった。
SPYは2.64%安の234.34㌦で大幅に8日続落し、2017年4月21日以来、1年8カ月ぶりの安値圏まで下げた。S&P500がザラ場ベースの史上最高値から20%超下げ、SPYも軟調だったが、バーゲンハンティングのような買いが入ったことは相場の底入れを占うシグナルとして注目される。
連休明け25日の日本。
日銀が本石砲(日銀のETF買い)を発射し、703億円のETFを買い入れた。これで12月は10回目のETF買いとなり、毎営業日に12億円を買い入れている「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」を含めた今年の年間買入額は6兆4337億円に達する見込み。あと1回、本石砲を発射すれば6兆5000億円を超える見込みだ。
日銀は今月10回のETF買いに踏み切り、10月(12回)以来のハイペースで買入を行っている。今月は12営業日のうち10回で既にETF買いを実施。今月の営業日のうち52.6%で買入を行った格好だ。10月は22営業日のうち12回(54.5%)の買入となっていた。
もうひとつは、レバレッジETFの日経レバ(1570)。大幅に5日続落し、10.22%安の1万4480円で終えた。日経平均株価が5.01%安で急落する中、レバレッジETFの日経レバも大幅安となり、この日の優先市場の売買代金ランキングのトップで商いを伴いながら大幅安となった。
この結果、日経レバの純資産は6日以来、半月ぶりに5000億円を割り込んだが、純資産を基準価額で割った口数は126万口増えた。日経平均が2.11%安で大幅安となった今月10日(254万口増)以来の増加だった。日経平均が大幅安となる過程で個人投資家の逆張りの買いが入った格好で、日経レバを通じた日経先物買いが相場の下支え要因として期待されそうだ。(片平正二)
※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。