昨年暮れの悲観ムードからの揺り戻しで日経平均株価は8.55%上昇した。ただし、ダウ平均(11.90%高)やナスダック総合株価指数(15.06%高)に加え、上海総合指数の(22.47%高)と出遅れ感は否めない。その背景には海外投資家からの日本株の不人気があろう。
シティグループ証券の北岡智哉氏は3日付で「アジアマーケティング、日本株不人気の傾向と対策」と題したリポートを公表した。2月27日から3月1日にかけてシンガポールや香港の機関投資家との意見交換をまとめたもので、「日本株は依然として不人気である点を確認」したという。
2月27日から28日にかけて開催されたシティグループ証券のシンガポールコンファレンスでは「日本セッションで空席が目立つ一方、中国セッションは満席で立ち見が出る」など投資家の間で日本株に対する関心の低さが浮き彫りとなった。北岡氏は全体を通しては「自社株買い増か、持ち合い解消期待や物言う株主の台頭などでバリュー投資への関心が高い印象」とまとめた。
東証が発表する地域別売買動向では確かにアジア投資家の間で日本株への関心が薄れている様子が伺える。19年1月のアジア投資家の売買動向は日本株を差し引き79億円買い越していたが、2カ月連続で小幅な買い越しにとどまっている。18年10月には1360億円の売り越しとなったほか、18年9月まで7カ月連続で大幅な売り越し基調となっている。
目先は需給面で日経平均が2万2000円に達する可能性は残す。とはいえ、「日本株のカタリストが少ない」(国内投信)と、一段の上値追いに慎重な見方が多い。日本株への関心を引き寄せる決定打が依然として待たれる状況だ。(中山桂一)
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